フルマカモメ

フルマカモメ (Fulmarus glacialis)

フルマカモメは、ミズナギドリ目に属する海鳥で、主に北大西洋、北太平洋、そして北極海の島々や海岸で繁殖し、冬季には南へ移動して越冬します。グラシアリス（glacialis）という種小名は「氷」を意味し、この鳥が極地に生息することに由来しています。日本では本州北部以北の海域で一年中見ることができますが、繁殖地は確認されていません。夏季には特に多く観察される傾向にあります。

形態

フルマカモメの全長はおよそ48センチメートルで、翼を広げると約107センチメートルになります。ウミネコに似た大きさを持ち、体型はしっかりとしていて頸部が短いのが特徴です。翼は幅広く、またやや短めです。カモメに似ているものの、カモメはチドリ目に属しており、フルマカモメとは属の異なる鳥です。

フルマカモメには、全身が黒褐色の羽毛に覆われる暗色型、胴体背面や翼、尾羽が青みがかった灰色で、頭部と腹面が白い羽毛の淡色型、背面が淡灰色で頭部や腹面が白い羽毛の白色型の三つの変異型があります。日本では暗色型が最も多く見受けられ、初列風切の基部には白い斑紋があることが特徴です。

嘴は通常黄色ですが、黒褐色の個体も存在し、足はピンク色です。

生態

フルマカモメは主に海洋に生息しており、繁殖期を除いた期間では単独または散発的な群れで生活しています。飛行中は、はばたきと滑空を交互に行い、ミズナギドリ属に比べるとはばたきはしなやかさに欠けると言えます。フルマカモメという名前はノルウェー語の「fulma」に由来し、これが「悪臭のするカモメ」という意味を持っています。この名前は、ミズナギドリ科に属する種が危険を感じた際に液体を口から吐き出す防御行動と関連しています。

この鳥は肉食性で、主に魚類や甲殻類、軟体動物を食べます。空中から水面を観察しながら餌を捕えるスタイルをとり、漁船周辺では廃棄された魚に集まることもよく知られています。

繁殖はコロニーで行われ、海岸や島の断崖に簡素な巣を作ります。巣は草や石を用いて作られ、一度に1個の白色無斑の卵を産みます。抱卵は雌雄が交代で行い、約40日間抱卵します。その後、約60日で雛が巣立つことになります。

フルマカモメは、北極や高緯度地域を代表する海鳥として、その独特な生態とがっしりした体形から多くの観察者から注目を集めています。

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