フレッシュボイス

フレッシュボイス：激しい気性と末脚の天才

フレッシュボイス（Fresh Voice、1983年5月9日 - 2007年6月12日）は、日本の競走馬、種牡馬として、昭和後期から平成初期にかけて活躍した名馬です。1987年の安田記念（GI）優勝という輝かしい実績を残し、その華麗な追い込みと激しい気性で多くのファンを魅了しました。この記事では、彼の誕生から競走馬時代、種牡馬時代、そして晩年までを詳しく辿ります。

誕生と幼少期：小笠原牧場の希望

フレッシュボイスは、北海道静内町にある小笠原牧場で誕生しました。この牧場は、カミサカエ（1955年皐月賞・東京優駿2着）などの活躍馬を輩出した歴史ある牧場でしたが、初代小笠原初雄の急逝後、経営は苦境にありました。四代目当主となった小笠原義美は、牧場の規模縮小を余儀なくされながらも、長年培ってきたデヴォーニア系牝馬の血統を守り抜きました。

その血統を受け継ぐシャトーハードという繁殖牝馬が、1982年、気性の荒さを中和させるため、短距離で活躍したイギリス産馬フィリップオブスペインと交配されました。そして1983年5月9日、シャトーハードの6番仔として生まれたのが、フレッシュボイスです。細身ながら胴が長く、幼少期は大人しく、牝馬のような外見をしていたと伝えられています。

競走馬時代：驚異的な末脚と激しい気性

2歳10ヶ月でヤマサン株式会社代表取締役社長、円城和男氏の所有馬となり、「フレッシュボイス」と名付けられました。栗東トレーニングセンターの境直行調教師に見出され、1985年10月、福島競馬場での新馬戦でデビュー。見事初勝利を飾ると、その後も連勝を重ねます。

3歳時は、シンザン記念（GIII）で重賞初制覇。続く毎日杯（GIII）では、雪の中、後方から追い込み、3馬身半差の圧勝劇を演じました。皐月賞（GI）では2着と惜しくも優勝は逃しましたが、その末脚はクラシック戦線でも大きなインパクトを与えました。ダービー出走は、調教中の事故により回避しました。

4歳時は、夏に長期休養を挟みながら、神戸新聞杯（GIII）4着、菊花賞（GI）6着、有馬記念（GI）5着という結果に終わりました。しかし、5歳になると、日経新春杯（GII）で重賞3勝目を挙げ、安田記念（GI）ではニッポーテイオーを破り、GI初制覇を達成しました。この勝利は、重馬場という条件も味方したものの、フレッシュボイスの驚異的な末脚と、田原成貴騎手（皐月賞後怪我で一時離脱、安田記念は柴田政人騎手が騎乗）とのコンビネーションが光るものでした。

その後は、宝塚記念、天皇賞（秋）などに出走しましたが、思うような成績を残せず、管骨の剥離骨折により長期離脱を余儀なくされました。

6歳以降も、サンケイ大阪杯（GII）で重賞5勝目を挙げ、安田記念ではニッポーテイオーに次ぐ5着、宝塚記念では5着という結果に終わるなど、古豪として活躍を続けました。7歳で競走馬を引退し、1990年1月15日に京都競馬場で引退式が執り行われました。

種牡馬時代と晩年

引退後は種牡馬となり、円城氏により日高軽種馬農業協同組合静内種馬場に繋養されました。しかし、種牡馬としての成功は収められず、1997年に種牡馬登録を抹消。その後、乗馬を経て、日高シルバーホースファームで余生を送り、2007年6月12日、心不全のため24歳で死亡しました。

まとめ

フレッシュボイスは、激しい気性と卓越した末脚を武器に、数々のレースを制覇した名馬でした。その生涯は、競走馬としての華々しい活躍だけでなく、種牡馬としての挑戦、そして晩年まで人々に愛された姿を通して、競馬ファンに深い感動を与え続けました。彼の活躍は、競馬史に永遠に刻まれるでしょう。

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