土取利行

土取利行

土取利行（つちとり としゆき、1950年9月1日 - ）は、香川県多度津町出身の音楽家です。パーカッショニスト、マルチインストゥルメンタリストとして知られ、その活動はフリー・ジャズ、演劇音楽、古代音楽、民族音楽など多岐にわたります。

来歴

幼少期より祭り太鼓に親しみ、10代の頃から大阪でモダンジャズを始めました。1970年代初頭には、前衛ジャズ・ドラマーとして活動を開始し、近藤等則、坂本龍一、阿部薫、高木元輝、音楽評論家の間章らと共演。フリー・ジャズの演奏家として、ミルフォード・グレイヴス、デレク・ベイリー、スティーヴ・レイシーらとも共演を重ねました。

1976年からは、ピーター・ブルック国際劇団の音楽家として、『ユビュ王』『マハーバーラタ』『ハムレット』『テンペスト』など数々の作品で音楽監督や演奏家を務め、世界各地を巡演しました。アジア・アフリカの民族音楽の探求を続ける中で、日本のうたもの、語りものを追求する三味線演奏家・音楽家の桃山晴衣とパリで出会い、1987年には岐阜県郡上八幡に活動拠点となる茅葺きの芸能堂「立光学舍」を共同で設立しました。

1988年から1993年まで、地域の民話・伝説をもとにした芸能舞台「立光学舍フェスティバル」を毎夏開催し、国内外の音楽家・舞踊家らの招聘公演を多数プロデュース・出演しました。また、弥生時代、縄文時代、旧石器時代といった日本の有史以前の音楽の研究と演奏にも力を入れ、縄文鼓を復元・演奏する「縄文の音世界プロジェクト」は各方面から注目を集めました。一時、アジアの打楽器を中心とした演奏集団「スパイラル・アームズ」も率い、大野一雄、山田せつ子、田中泯ら舞踊家との共演も多く行いました。

2000年代には、フランスの壁画洞窟の音楽調査・演奏と、ピーター・ブルック国際劇団の世界公演を続ける傍ら、国内での演奏公演やワークショップ活動も積極的に行いました。

近年は、添田唖蝉坊をはじめとする明治大正の演歌師の残した歌を研究し、ライブ公演やYouTubeで披露しています。添田唖蝉坊・知道の演歌を原曲に忠実にレコーディングしたアルバムも複数リリースしており、伴侶の桃山晴衣は添田唖蝉坊の息子である添田さつきの最後の弟子でした。

メディア出演

土取利行は、数々のテレビ番組にも出演しています。

1983年 TBS「銅鐸を打つ」
1989年 NHK BS「鼓武震撼」（中国武術家の松田隆智とのジョイントパーフォーマンス / 銀座セゾン劇場）
NHK ETV8「始源の音を求めて ～対談 土取利行・西江雅之～」
1990年 NHK教育テレビ「縄文の音世界を求めて」（演奏に至るまでのドキュメント）
NHK衛星放送（長野県尖石遺跡での「縄文鼓」の演奏）
1992年 NHK新春番組「日本人の心」
NHK衛星放送中継番組「ミステリーゾーン飛騨」
2000年 TBS「筑紫哲也ニュース23ミレニアム特集」（吉野ヶ里遺跡での「縄文鼓」の演奏）
2002年 NHKハイビジョンスペシャル「暗闇に残されたメッセージ ～世界最古・洞窟壁画の謎～」
2003年 NHK総合（同上）

受賞歴

1990年 第二回古川町音楽大賞奨励賞受賞
1999年 岐阜県の織部賞（知事賞）を受賞

ディスコグラフィ（主要作品）

「オリジネーション」土取利行、高木元輝　1975年
「Disappointment - Hateruma / 土取利行 & 坂本龍一」1975年
「銅鐸」1983年
「磬石（サヌカイト）」1986年
「夢二絃唱 / 土取利行 & 桃山晴衣」1989年
ピーター・ブルック「マハーバーラタ」映画版サウンドトラック　音楽監督・演奏：土取利行
「縄文鼓」1990年
「ネイティヴ・ドリーム / 土取利行 & トリブ」1995年
「Drum Sky 鼓空 / 土取利行 & スパイラルアームズ」1998年
「縄文鼓・スピリットダンス」2002年
「瞑響・壁画洞窟」2008年
「添田唖蝉坊・知道を演歌する Original recording」2013年
「明治の壮士演歌と革命歌 Original recording」2014年
「添田唖蝉坊・知道を演歌する / 第二集 Original recording」2015年
「添田唖蝉坊・知道をエンカする/第三集　Original recordinng」2018年
水霊の歌」松田美緒、土取利行　2017
「The Flow of spirit」エヴァン・パーカー、土取利行、ウイリアム・パーカー　2018年

著作

『螺旋の腕』 1988年（筑摩書房）
『縄文の音』 1999年（青土社）
『壁画洞窟の音 旧石器時代・音楽の源流をゆく』 2008年（青土社）

共著

『軟骨的抵抗者 演歌の祖・添田啞蟬坊を語る』鎌田慧共著. 金曜日, 2017.8

訳書

ハズラト・イナーヤト・ハーン『音の神秘』1988年（平河出版社）

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