フレデリック・ノース (第2代ギルフォード伯爵)

第2代ギルフォード伯爵フレデリック・ノース

フレデリック・ノース（1732年 - 1792年）は、イギリスの政治界で著名な存在であり、特にアメリカ独立戦争の時期に首相として多大な影響を与えた。彼は1754年にトーリー党から庶民院議員に当選し、以後の政治キャリアで財務大臣、内務大臣など多くの重要な閣僚ポストを歴任した。1770年から1782年にかけては、イギリスの首相としての地位にあったが、その在任期間中の状況は困難を極めた。

初期の生涯と政界入り

ノースは、初代ギルフォード伯爵フランシス・ノースとルーシー・モンタギューの息子としてロンドンに生まれ、イートン・カレッジ及びオックスフォード大学で教育を受けた。大学卒業後はグランドツアーを経て、22歳という若さで政界に進出した。彼はバンベリー選挙区での成功を皮切りに、徐々に影響力を高めていった。

特に、彼の強い人脈と議会での弁論の才能が評価され、数回にわたり閣僚任命を受けることになった。ノース卿は不遇な時期を経ながらも、党派を超えた支持を集めることに成功し、財務大臣となった後はその経験をもとに政治的な手腕を発揮することとなった。

首相としての苦闘

1770年、ノースは首相に就任するも、政治的には孤立した立場にあった。主要な政党が彼に反発している中での就任であり、特にアメリカ植民地との摩擦が進行していた。彼は初め、フォークランド危機などの外交問題や国内の法律を巡って政治的な苦闘を強いられ、次第にアメリカ独立戦争への対処へと舵を模索していくこととなった。

アメリカ独立戦争においては、ボストンティー事件後に耐え難き諸法を成立させるなど対策を講じたが、これが逆効果となり、植民地との関係悪化を招いた。最終的に戦いが激化する中で、彼の政権は次第に信頼を失い、辞任を余儀なくされていく。

辞任とその後の政治生活

1782年、コーンウォリス伯爵がヨークタウンで降伏すると、ノースの立場は一層厳しくなり、最終的に首相を辞任した。以降はフォックス＝ノース連立内閣に参加するが、その政権も短命に終わる。彼は政界から引退したとはいえないが、再び強い影響力を持つことは難しくなった。晩年には過去の政治的錯誤に対する評価が影を落とすことになり、特にアメリカの喪失が彼の名を現在まで残すこととなる。

死去と評価

1792年8月に亡くなったフレデリック・ノースは、その死に際して「自己の政治旅行において、多くの誤りがあったが、悔いはない」と述べたという。その生涯は、首相としての多くの困難や失敗によって「アメリカを失った首相」として知られ、彼に関する批判が後世にも広がった。

彼はまた、ノース卿を以降の最悪の首相として言及されることも多く、その政治的決定がイギリスの運命を大きく左右することになった。公私においては、家族との関係も良好であったが、最終的にはその政治的影響力を時代の変化に逆らうことができずに消失させてしまった。

ノースの業績や失策は、イギリス政治史において重要な教訓を残したとされ、その影響は現在でも語り継がれている。

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