フレンチデピュティ

フレンチデピュティ(French Deputy)は、1992年1月30日生まれのアメリカ合衆国出身の競走馬です。競走馬時代は、1994年1月20日のデビュー戦を圧勝で飾ると、その後も連勝を重ね、ベルモントパーク競馬場で行われたジェロームハンデキャップ(G2)を制覇しました。このレースでは、ライバルであるミスターグリーリーを4馬身差で圧倒的な強さで勝利をおさめ、4連勝で重賞競走を制覇する快挙を達成しました。その後、ブリーダーズカップ・クラシックに出走するも、名馬シガーに敗れ、9着に終わりました。このレースを最後に競走馬としてのキャリアに幕を閉じました。

引退後は、アメリカのスリーチムニーズファームで種牡馬としての生活が始まりました。その後、2001年に社台グループによって日本へ移籍しました。アメリカ時代には、後にエクリプス賞最優秀古牡馬・セン馬に選出されるレフトバンクなどの良質な産駒を輩出しています。

日本での初年度の種付け料は350万円と設定されましたが、その優れた繁殖能力から、3年目には800万円へと大幅に値上げされました。2004年には日本産駒がデビューし、その活躍は目覚ましく、翌年にはJRAファーストシーズンチャンピオンサイアーに輝きました。これは、1994年のサンデーサイレンス以来2番目の快挙でした。

フレンチデピュティ産駒の活躍は多岐に渡り、クラシック競走や主要なG1競走を制覇する馬を多数輩出しました。2006年にはフレンドシップが交流G1競走を制し、2007年にはピンクカメオがNHKマイルカップを制覇するなど、活躍の場は国内外に広がっていきました。2008年には、レジネッタが桜花賞を制し、アドマイヤジュピタが天皇賞（春）、エイシンデピュティが宝塚記念を制覇するなど、クラシック競走でもその存在感を示しました。

アドマイヤジュピタの天皇賞(春)制覇や、サンアディユによるアイビスサマーダッシュ制覇などから、フレンチデピュティ産駒の距離適性が非常に広いことも証明されました。短距離から長距離まで幅広く活躍できる競走馬を輩出する種牡馬として、高い評価を得ていました。

2017年を最後に種牡馬を引退し、現在は社台スタリオンステーションの功労馬馬房で余生を過ごしています。その功績は、産駒、ブルードメアサイアーの両方で活躍馬を送り出し続けていることからも明らかです。2021年1月17日に亡くなったクロフネとは、長年にわたり隣同士の馬房で過ごしていたというエピソードも残されています。

主な産駒としては、GI競走を制したクロフネ、エイシンデピュティ、アドマイヤジュピタ、レジネッタ、ピンクカメオなどが挙げられます。これ以外にも、数々のG1、G2競走、そして地方競馬の重賞競走を制した産駒が多数存在します。これらの活躍は、フレンチデピュティがいかに優れた遺伝子を持つ種牡馬であったかを物語っています。母父としても多くの活躍馬を輩出し、その影響力は現代競馬においても依然として大きいと言えるでしょう。フレンチデピュティは、競走馬としても種牡馬としても、日本競馬史に大きな足跡を残した名馬と言えるでしょう。

もう一度検索