フロリダ東海岸鉄道

フロリダ東海岸鉄道：歴史と現在

フロリダ東海岸鉄道（Florida East Coast Railway）は、アメリカ合衆国フロリダ州を走る貨物鉄道です。現在は二級鉄道に分類され、親会社はメキシコの鉱山企業グルポ・メヒコです。主な輸送品目は石灰岩とコンテナです。

設立と発展

フロリダ東海岸鉄道は、「フロリダの不動産王」と呼ばれたヘンリー・フラグラーによって1885年に設立されました。フラグラーはジャクソンビルから南へ線路を延伸し、沿線にホテル、別荘、分譲住宅を建設しました。これらの不動産は好調な売れ行きを示し、フラグラーに莫大な利益をもたらしました。1896年には、線路はマイアミに到達しました。

キーウェストへの延伸：オーバーシーズ鉄道

1905年、フラグラーは鉄道をさらにキーウェストまで延伸する工事を開始しました。当時建設中であったパナマ運河の完成を見据え、カリブ海における海上輸送の増加が予想されていました。キーウェストはその地理的な優位性から、物流拠点としての発展が期待されていました。しかし、海上高架橋の建設は技術的に困難を極めました。

1912年、ついに鉄道はキーウェストに到達し、この区間は「オーバーシーズ鉄道」（海上鉄道）と名付けられました。オーバーシーズ鉄道は全米で大々的に宣伝されました。1914年にパナマ運河が開通しましたが、キーウェストは期待されたほどの物流拠点にはなれませんでした。キーウェスト港の設備が、マイアミ港やタンパ港に比べて貧弱であったためです。

ハリケーンによる壊滅と復旧

1935年、超大型のハリケーンによってオーバーシーズ鉄道は壊滅的な被害を受けました。フロリダ東海岸鉄道はオーバーシーズ鉄道の復旧を断念しましたが、幸いにもフロリダ州が買い取り、道路として再生させることになりました。この道路は「オーバーシーズ・ハイウェイ」と名付けられ、現在も利用されています。

貨物鉄道としての存続とブライトライン

第二次世界大戦後、自家用車の普及により鉄道の利用者は減少し、フロリダ東海岸鉄道は従業員のストライキにも悩まされました。旅客輸送は赤字となり、1968年に運行を停止し、貨物鉄道として存続することになりました。当初は一級鉄道に分類されていましたが、1992年に二級鉄道に格下げされました。

近年、高速列車ブライトラインがフロリダ東海岸鉄道の線路を利用して運行を開始し、運行区間は複線化されました。コストを抑えるため電化は行われず、駅は全て新築されました。ブライトラインは2018年に開業し、毎時1本の運行が標準です。列車はマイアミ中央駅から海岸沿いを北上し、ブレバード郡内で西に向きを変え、高速新線に入り時速200キロメートルで走行、内陸部のオーランド国際空港駅に到着します。

フロリダ東海岸鉄道は、その歴史の中で様々な変遷を経験してきました。創設者の夢と挑戦、自然災害による打撃、そして新たな高速鉄道の登場。これらの出来事は、フロリダの発展と密接に結びついています。

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