フローゼル・アダムス

フローゼル・アダムス：NFLを彩った巨漢オフェンシブラインマン

フローゼル・アダムス（Flozell Jootin Adams、1975年5月18日 - ）は、アメリカ合衆国イリノイ州シカゴ出身の元アメリカンフットボール選手です。NFLのダラス・カウボーイズとピッツバーグ・スティーラーズで、13シーズンにわたりオフェンシブラインマンとして活躍しました。その間、プロボウルに5回選出されるなど、リーグを代表する選手として名を馳せました。

大学時代の輝かしい実績

アダムスはミシガン州立大学に進学し、アメリカンフットボール選手として才能を開花させました。4年次には、ビッグ・テン・カンファレンスの最優秀オフェンシブラインマンに選ばれたほか、オールアメリカンにも選出されるなど、数々の栄誉に輝きました。また、アウトランド・トロフィーとロンバルディ賞の選考でもセミファイナルまで進出するなど、その実力は高く評価されていました。

NFLでの活躍と苦難

1998年のNFLドラフトにおいて、アダムスは2巡目全体38番目という上位指名を受け、ダラス・カウボーイズに入団しました。カウボーイズでは長年にわたりスターティングメンバーとして活躍し、プロボウルにも5回選出されるなど、チームの中心選手として存在感を示しました。しかし、2005年のニューヨーク・ジャイアンツ戦で前十字靭帯を負傷し、残りのシーズンを棒に振るという苦難も経験しました。

2008年、アダムスはカウボーイズと6年4200万ドルという大型契約を結びました。しかし、2009年シーズンには、相手選手へのキッキングやトリッピングといった反則行為を繰り返したほか、12月6日のニューヨーク・ジャイアンツ戦では、試合終了後に相手選手を後ろから押して乱闘騒ぎを起こし、NFLから5万ドルの罰金を科されるという不祥事も起こしました。この一件がきっかけとなり、オフシーズンにはNFLのルール改正が行われ、パーソナルファウルの罰則が強化されることとなりました。2010年1月17日のミネソタ・バイキングスとのプレーオフでは、前半に負傷退場し、チームも敗れるという不運に見舞われました。

2010年4月2日、アダムスはカウボーイズから解雇されましたが、同年7月29日にはピッツバーグ・スティーラーズと2年契約を結び、シーズン絶望となったウィリー・コロンの代わりに右タックルのポジションを務めることとなりました。スティーラーズは第45回スーパーボウルに出場しましたが、グリーンベイ・パッカーズに敗れ、アダムスはスーパーボウルリングを得ることはできませんでした。2011年4月には、先発出場へのこだわりが報じられ、同年NFLはロックアウトに突入。ロックアウト終了後の7月29日、アダムスはスティーラーズから解雇されました。

人物像

アダムスのニックネームは「ホテル」で、靴のサイズは40cmと非常に大きな体格の持ち主でした。また、右耳の聴力が弱いという特徴も持っていました。NBAで活躍したハーシー・ホーキンズは、アダムスの従兄弟にあたります。

2005年以外は全試合に出場しており、2006年から2010年シーズンまで80試合連続出場を果たすなど、タフな一面も持ち合わせていました。しかし、フォルススタートやホールディングなど、反則の多い選手としても知られており、2005年からの反則数はアレックス・バロンに次いでNFL2位の67回を数えました。2009年には、開幕週から第3週まで、3週連続で罰金を科されるという記録も残しています。

スティーラーズに在籍していた磯有理子によると、「見た目は少し怖いけれど、とてもナイスガイ」だったそうです。

2009年10月11日には、フォックス放送で、当時トニー・ロモと交際していたジェシカ・シンプソンが激太りしたことについて、「フローゼル・アダムスみたいになった」という内容のアニメが放送され、物議を醸しました。この件に関して、フォックスとスポンサーのバーガーキングは謝罪しています。

フローゼル・アダムスは、その体格と実力でNFLを沸かせた一方で、数々のトラブルも経験した、記憶に残る選手の一人です。

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