フーセンウサギ

フーセンウサギ株式会社は、大阪市中央区に本社を構え、子供服の製造・卸売を営んでいた企業です。三和グループの一員であり、その主要企業で組織された「みどり会」の会員でもありました。

同社は1921年に渡辺一良氏が創業し、1951年に法人組織へと改められました。事業においては、自社で開発した『フーセンウサギ』、『CELEC（セレク）』、『richesse（リシェス）』、『pikku poika（ピックポイカ）』、そして低価格帯の『cucco（クッコ）』といった多様なブランドを展開。さらに、『OLIVEdesOLIVE DOLL』や『ナイキ』など、著名なライセンスブランドの子ども服の企画・製造も手がけていました。

組織面では、1973年に事業部門を分離して新たな事業会社を設立し、一時的に本体は資産管理機能に特化しましたが、1999年には再び事業会社を吸収合併し、一体的な経営体制に戻しています。また、子ども服事業以外にも、1990年にはモータースポーツのF3カテゴリーにおいて、「フーセンウサギレーシングチーム」のメインスポンサーを務めるなど、異分野での活動も見られました。テレビCMも積極的に展開し、『桂三枝のにゅーすコロンブス』、『平成ふしぎ探検隊』（いずれも朝日放送制作・テレビ朝日系列）、『どうぶつ奇想天外!』（TBS）といった人気番組で視聴者に親しまれました。

2006年6月には、みずほ証券を系列に持つ投資ファンド（ポラリス・プリンシパル・ファイナンス）が、第三者割当増資の引き受けと既存株主からの株式取得により、発行済み株式の約67%を取得し、主要株主となりました。2007年12月には、100%子会社であった株式会社ファティエを吸収合併。これにより、『リーバイス』ブランドの子ども服の企画・製造に加え、『アカチャンホンポ』や『しまむら』といった量販店向けの卸売事業も強化されました。

しかし、2000年代に入ると経営状況は徐々に厳しさを増し、特に2004年2月期から2010年2月期にかけては、7期連続で最終的な赤字を計上するという深刻な事態に陥りました。2011年2月期には、大阪市西区に所有していた自社ビルを売却したことで一時的に黒字を回復しましたが、2012年2月期以降は再び赤字に転落。経営の立て直しを図るため、希望退職者の募集や在庫を担保にした融資など、様々な手段を講じましたが、状況は改善しませんでした。

2013年7月には金融機関による動産譲渡登記が設定されるに至り、同年9月には支払いの遅延が発生しました。同年4月から懸命に支援スポンサーを探しましたが、残念ながら見つけることはできませんでした。こうした状況を受け、2013年10月15日、大阪地方裁判所に破産手続きの開始を申し立て、同日付で手続き開始の決定を受けることとなりました。負債総額は約29億4000万円に上り、破産手続き開始決定に伴い、すべての従業員が同日付けで解雇されました。

破産後、フーセンウサギが展開していた各ブランドは破産管財人によって競売にかけられました。そのうち、『CELEC（セレク）』ブランドは、奇しくも同じ大阪市中央区に本社を置くコロナマルダイ株式会社が2014年にこれを落札。コロナマルダイは、CELECブランドを引き継ぐ新会社としてCELEC株式会社（初代）を設立し、2016年から再び市場での販売を開始しました。その後、初代CELEC株式会社は2018年5月にコロナマルダイの関連会社である株式会社マルダイに吸収合併され、同時にマルダイは商号をCELEC株式会社（2代）に変更し、現在に至ります。また、かつて2010年まで同社が所有していた旧自社ビルは、その後モンベルの本社として利用されています。

破産手続きはその後も続き、最終的にフーセンウサギ株式会社の法人としての存在は、2017年10月6日をもって消滅しました。

経営破綻時には、直営店75店舗、百貨店内店舗157店舗の、合計232の営業拠点を展開していました。

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