フール・フォー・ユア・ラヴィング

ホワイトスネイクの1980年発表のアルバム『フール・フォー・ユア・ラヴィング』は、彼らの音楽キャリアにおいて重要な転換点となった作品です。スタジオ・アルバムとしては3作目にあたり、バンドにとって初の全英アルバム・チャートトップ10入り、そしてアメリカのBillboard 200チャートへの初登場を記録しました。このアルバムは、バンドの国際的な成功への道を切り開いた作品と言えるでしょう。

本作は、ディープ・パープルの元メンバーであるイアン・ペイスがドラマーとして加入後初のスタジオ・アルバムでもあります。しかし、アルバムジャケットの撮影時、ペイスは姿を現さず、急遽代役を立てて撮影し、後からペイスの顔写真を合成するというエピソードも残っています。

収録曲の中でも特に注目されるのは、タイトル曲でもある「フール・フォー・ユア・ラヴィング」です。この曲は、後に1989年のアルバム『スリップ・オブ・ザ・タング』でキーを変えてセルフカバーされています。また、「ブラインドマン」は、デイヴィッド・カヴァデールが1977年にリリースしたソロ・アルバム『ホワイトスネイク』に収録されていた曲のセルフカバーです。これらの楽曲は、ホワイトスネイクの音楽的な幅広さと、カヴァデールのソングライティング能力の高さを表しています。

アルバムには、他にも「スウィート・トーカー」「レディ・アン・ウィリング」「キャリー・ユア・ロード」など、ハードロックファンを魅了する楽曲が多数収録されています。

2006年にはリマスター盤がリリースされ、ボーナストラックとして「ラヴ・フォー・セール」や、レディング・フェスティバルでのライブ音源が追加収録されました。これらのライブ音源は、ホワイトスネイクのライブパフォーマンスの熱量を伝える貴重な資料となっています。

「フール・フォー・ユア・ラヴィング」は、数多くのアーティストによってカバーされています。特に有名なのは、ジョー・リン・ターナーが1999年に発表したカバー・アルバム『Under Cover 2』に収録されたバージョンや、B'zの松本孝弘のソロプロジェクトとしてリリースされたROCK'N ROLL STANDARD CLUB BANDによるカバーバージョンです。

アルバムの制作には、以下のメンバーが参加しています。
デイヴィッド・カヴァデール - ボーカル
ミッキー・ムーディ - ギター
バーニー・マースデン - ギター
ジョン・ロード - キーボード
ニール・マーレイ - ベース
イアン・ペイス - ドラムス

『フール・フォー・ユア・ラヴィング』は、ホワイトスネイクの音楽性を確立し、世界的な人気を獲得するきっかけとなった重要な作品であり、ハードロックファンにとっては必聴のアルバムです。

収録曲

1. フール・フォー・ユア・ラヴィング- Fool for Your Loving
2. スウィート・トーカー- Sweet Talker
3. レディ・アン・ウィリング- Ready an' Willing
4. キャリー・ユア・ロード- Carry Your Load
5. ブラインドマン- Blindman
6. エイント・ゴナ・クライ・ノー・モア- Ain't Gonna Cry No More
7. ラヴ・マン- Love Man
8. ブラック・アンド・ブルー- Black and Blue
9. シーズ・ア・ウーマン- She's a Woman

2006年リマスター盤ボーナス・トラック

1. ラヴ・フォー・セール- Love for Sale
2. ハート・オブ・ザ・シティ（レディング・フェスティヴァル・ライヴ） - Ain't No Love in the Heart of the City (live)
3. ミストゥリーテッド（レディング・フェスティヴァル・ライヴ） - Mistreated (Live)
4. ラヴ・ハンター（レディング・フェスティヴァル・ライヴ） - Love Hunter (Live)
5. ブレイクダウン（レディング・フェスティヴァル・ライヴ） - Breakdown (Live)

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