ブッシュマスターIII 35 mm 機関砲

ブッシュマスターIIIは、アメリカのアライアント・テックシステムズ（ATK）社が開発した35mm口径のチェーンガンです。先行して開発された25mm口径のM242ブッシュマスターをベースに、より強力な35×228mm弾を使用できるようにスケールアップされています。

設計

ブッシュマスターIIIの設計は、M242ブッシュマスターの基本構造を踏襲しつつ、いくつかの重要な点が改良されています。給弾機構はM242と同様に二方向からの装填に対応しており、異なる種類の弾薬を迅速に切り替えて使用できます。これにより、戦闘状況に応じた最適な弾薬を選択することが可能です。一方、発射機構はM242のオープンボルト方式から、ブッシュマスターIIIではクローズドボルト方式に変更されました。クローズドボルト方式は、射撃時の反動を低減し、命中精度を向上させる効果があります。

開発計画は1989年に公表され、試作品は1990年に試射を行いましたが、その後、長い中断期間を経て、運用開始は2007年となりました。この間に技術的な進歩や戦術の変化があったため、ブッシュマスターIIIはより洗練されたシステムとして完成しました。

50mm口径版の開発

ブッシュマスターIIIについては、50mm口径版の開発も複数回試みられています。1980年代には、ラインメタル社がエリコン社と共同で開発したRh 503で、35mm弾と50mm「スーパーショット」弾を切り替えて使用できる技術が検討されました。この50mm弾はAPFSDS弾の弾心長を確保するためにテレスコープ弾構造を採用しており、既存の砲弾よりも高い貫通能力を持っていました。

2010年代には、C-RAM（Counter Rocket, Artillery, and Mortar）システムを主眼とするEAPS（Extended Area Protection and Survivability）計画の一環として、ブッシュマスターIIIに50×330mm弾を導入する検討が行われました。この50mm弾は、1980年代のスーパーショット弾と類似していましたが、弾丸の長さを延長して弾道修正機能を追加し、全長は538mmとなりました。これにより、長距離射撃時の命中精度が向上すると期待されています。

2018年10月には、アメリカ陸軍研究所（ARL）が、35×228mm弾を単純に増口径化した50×228mm弾と、その運用に対応するためにブッシュマスターIIIの設計を改訂したXM913を発表しました。XM913は、2020年代以降の新世代戦闘車両向けに開発され、米陸軍の次期歩兵戦闘車計画OMFVに提案されたグリフィンIIIに搭載されたほか、CV90の新型バージョンの武装オプションにも採用されています。

ブッシュマスターIIIは、その高い信頼性と汎用性から、さまざまなプラットフォームに搭載され、現代の戦闘環境で重要な役割を担っています。特に、その派生型であるXM913は、将来の戦場での活躍が期待されています。

参考文献

Gander, Terry J. (2002), Jane's Infantry Weapons, 2002-2003 (28th ed.), Janes Information Group, ISBN 978-0710624345
Polmar, Norman (2013), The Naval Institute Guide To The Ships And Aircraft Of The U.S. Fleet (19th ed.), Naval Institute Press, ISBN 978-1591146872
Williams, Anthony G. (2022), Autocannon : A History of Automatic Cannon and Ammunition, Crowood Press, ISBN 978-1785009204
ATK. “Bushmaster III” (PDF) (英語). 2011年10月12日閲覧。
ATEN (2008年). “Army Guide - Bushmaster III 35, Gun” (英語). 2011年10月12日閲覧。

関連項目

エリコンKD 35 mm [[機関砲]]

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