ブトゥアン

ブトゥアン：歴史と自然が織りなすミンダナオの要衝

ブトゥアンは、フィリピン南部のミンダナオ島北東部に位置するカラガ地方の主要都市であり、アグサン川流域に発展した歴史ある都市です。アグサン川は、ブトゥアンの市街地を南北に貫流し、その両岸に市街地が広がっています。市の北西部はブトゥアン湾に面しており、アグサン川の河口が位置しています。

地理と環境

ブトゥアンの面積は817.28平方kmで、カラガ地方の4.1%を占めています。人口密度は1平方kmあたり303人と、カラガ地方の平均を上回ります。土地利用は、農地が最も多く、森林、牧草地、その他の順で構成されています。森林のうち一部は木材生産に利用されていますが、生態系保護のため保護されている地域も存在します。海岸部にはマングローブ林が広がり、独特の生態系を形成しています。市街地の造成に必要な土砂は、主にタギボ川の河岸から採取されています。

歴史

ブトゥアンの歴史は古く、10世紀ごろにはすでに、チャンパ王国やシュリーヴィジャヤ王国などの海外との交易拠点として栄えていました。11世紀までにブトゥアン王国はフィリピン諸島の交易・商業の中心となり、中国の宋との間で国交を樹立しました。1521年には、フェルディナンド・マゼラン一行が来訪し、ミサを行ったことが記録されています。その後、スペインの植民地となり、ミンダナオ北東部の商業の中心として発展しました。

太平洋戦争中には、市街地が破壊されるという苦難も経験しましたが、戦後の復興と材木産業ブームにより、急速に発展を遂げました。1950年には市に昇格し、1985年には高度都市化市となりました。

ブトゥアンの名前の由来

ブトゥアンの名前の由来については諸説あり、酸っぱい果実の「バトゥアン」に由来するという説と、この地方を支配した首長「ダトゥ・ブントゥアン」に由来するという説があります。

バランガイ（小行政区）

ブトゥアン市内には、86のバランガイ（小行政区）があります。各バランガイは、それぞれ特色を持ち、地域のコミュニティを形成しています。主なバランガイには、アガオ・ポー、アグサン・ペケーニョ、アンバゴ、アムパヨン、アンティカラ、アウパガン、バアンKM3、バンカシ、バザ、ビトスなどがあります。

見どころ

アグサン川: ミンダナオ島で最も長く、航行に適した川であり、川沿いのクルーズが楽しめます。アバヤン・フェスティバルでは、ボートレースなどのイベントが開催されます。
バランガイ博物館: 320年頃のバランガイ（船）が発掘された場所で、歴史的な遺産を展示しています。出土した9隻のバランガイのうち3隻が発掘され、展示されています。
ブトゥアン地域博物館: ブトゥアンの先史時代からの出土品や文化財を展示しており、この地域の豊かな歴史を学ぶことができます。考古学ホールと人類学ホールがあります。
マヤパイ山: マジャパヒト王国に由来するという説のある山で、ブトゥアンの歴史に深く関わる場所です。標高675mの山頂からの景色は絶景です。

祝祭

カヒムナン・フェスティバル: 1月の第3日曜日に、守護聖人サント・ニーニョを祝って行われる祭りで、セブ市のシヌログ祭りと同様のものです。先住民の言葉で「集い」を意味するカヒムナンという言葉が使われています。
文化の祭典・観光週間: 7月最終週から8月2日まで行われる祭典で、ブトゥアンの市制移行を記念して行われます。期間中にはアバヤン・フェスティバルも開催されます。
アバヤン・フェスティバル: 7月最終日曜日にアグサン川の守護聖人である聖アンナを祝って行われる祭りです。川で船漕ぎや船行列が行われます。
アドラウ・ホン・ブトゥアン: ブトゥアン市制施行記念祝典で、ミサ、パレード、地元料理のコンテストなどが開催されます。
守護聖人聖ヨセフの祭典: 5月19日に行われる祭典で、バスケットボール大会などのイベントが開催されます。

交通

ブトゥアンには、バンカシ空港とナシピット港があり、国内外とのアクセスが可能です。

姉妹都市

ブトゥアンは、フィリピン国内だけでなく、オーストラリアや日本にも姉妹都市を持っています。姉妹都市との交流を通して、文化や経済の発展に貢献しています。

バギオ（フィリピン）
セブ（フィリピン）
イリガン（フィリピン）
ラプ＝ラプ市（フィリピン）
マカティ（フィリピン）
Maragusan（フィリピン）
ドゥマゲテ（フィリピン）
アデレード（オーストラリア）
板倉町（日本）
加西市（日本）
北九州市（日本）

ブトゥアンは、歴史的な遺産と豊かな自然が共存する魅力的な都市です。訪れる人々は、古代からの歴史と文化に触れ、アグサン川の雄大な流れや、熱帯の自然を満喫することができます。

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