ブハラの戦い

ブハラの戦い（ゴル・ザリウンの戦い）

ブハラの戦い、またはゴル・ザリウンの戦いは、およそ560年頃にサーサーン朝と突厥第一可汗国が連合し、エフタルを破った戦いです。この戦いを契機に、中央アジアにおけるエフタルの勢力は衰退し、崩壊へと向かいました。

背景

484年、サーサーン朝の王ペーローズ1世はエフタルとの戦いで敗死し、ホラーサーン地方の大半をエフタルに占領されるという屈辱を味わいました。ホスロー1世は、祖父の仇を討つべく、まずは東ローマ帝国との和平条約を結び、西方の安全を確保。エフタルへの復讐に専念できる状況を作り上げました。

ホスロー1世は軍事改革によって国力を増強しましたが、エフタルを単独で打ち破るには不安が残りました。そこで、中央アジアに進出してきた新興勢力である突厥と同盟を結ぶことを決意します。一方、エフタルも強大な軍事力を持っていましたが、複数の戦線を維持できるほどの組織力はありませんでした。

フィルドゥシーの『シャー・ナーメ』によれば、エフタルはバルフ、シグナーン、アモールなど複数の地域から支援を受けていました。557年、サーサーン朝と突厥は同盟を結び、エフタルを挟撃する戦略をとります。年代には諸説ありますが、ブハラでエフタル軍を破り、アムダリヤ川以北を突厥が、以南をサーサーン朝がそれぞれ占領しました。

影響

ブハラの戦いの後、エフタルは崩壊し、各地に小王国が分立しました。エフタルの王子Faghanishはチャガニアンを支配する王国を築きます。エフタル王Ghadfarはサーサーン朝領へ逃亡。一方、突厥も独自にエフタルと合意し、Faghanishを新たな王に据えました。

サーサーン朝のホスロー1世は、突厥の独自外交に不快感を抱き、両国の連合が自国の脅威となることを警戒します。ホスロー1世は突厥との国境地帯であるゴルガーンに進軍し、突厥の室点蜜を迎え入れ、同盟の必要性を説得しました。その結果、Faghanishはサーサーン朝の宮廷に出向き、ホスロー1世に王としての地位を承認してもらうことになります。こうしてチャガニアン王国はサーサーン朝の臣下となり、アムダリヤ川が両国の国境として定められました。

友好関係を深めるため、室点蜜の娘がホスロー1世に嫁ぎ、政略結婚が行われました。ミフラーン・スィタードがサーサーン朝の外交官として活躍しましたが、両国の関係はその後急速に悪化します。シルクロードの支配権と東西貿易の権益を巡り、対立が激化したためです。568年、突厥は東ローマ帝国にサーサーン朝を挟撃するための同盟を提案しましたが、これは実現しませんでした。

参考文献

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