ブライス・ダナー

ブライス・ダナーは、1943年2月3日、アメリカ合衆国ペンシルベニア州フィラデルフィアに生まれました。ドイツ系アメリカ人の家系に育ち、銀行幹部である父親の影響を受けて、裕福な家庭環境で幼少期を過ごしました。幼い頃から舞台芸術に興味を持ち、ニューヨークのバード大学で演技を学びました。

1965年にバード大学を卒業後、ダナーは舞台女優としてキャリアをスタートさせました。才能あふれる彼女は、すぐにブロードウェイで活躍するようになり、1970年には『バタフライはフリー』でトニー賞助演女優賞を受賞するなど、数々の賞にノミネートされ、輝かしい実績を残しました。『Betrayal』や『欲望という名の電車』といった名作への出演も記憶に新しく、彼女の演技力は高く評価されています。ミュージカルにも挑戦しており、『Follies』では主演女優賞候補にノミネートされました。

私生活では、1969年にテレビプロデューサーのブルース・パルトローと結婚。2人の間には、後にアカデミー賞受賞女優となるグウィネス・パルトローと、映画監督のジェイク・パルトローが誕生しました。子育てに専念するため、女優業は一時的に中断しましたが、その後、再び女優としての道を歩み始めます。

映画界においても、ダナーは数々の作品に出演し、その存在感を示しました。ロバート・デュヴァル主演の『パパ』、SF映画の金字塔『Xファイル ザ・ムービー』、そしてロバート・デ・ニーロと共演した『ミート・ザ・ペアレンツ』シリーズなど、幅広いジャンルの作品で印象的な演技を披露しています。2003年には、娘のグウィネス・パルトロー主演・製作総指揮の映画『シルヴィア』で親子共演を果たし、話題となりました。さらに、世界的アニメーション映画『ハウルの動く城』の英語版吹き替えでは、サリマンの声を担当し、声優としても高い評価を得ています。

テレビドラマにおいても、ダナーは多くの重要な役を演じ、そのキャリアを築き上げてきました。人気シリーズ『刑事コロンボ』や『MAS*H』へのゲスト出演、テレビ映画『ヘレン・ケラー』でのアン・サリヴァン役、そして、シットコム『ふたりは友達? ウィル&グレイス』での主人公ウィルの母親役など、幅広く活躍しています。特に、2004年から放送された『HUFF〜ドクターは中年症候群』でのアルコール中毒気味の主人公の母親役は高く評価され、プライムタイム・エミー賞を2度受賞するという快挙を達成しました。この2度の受賞は、同時に別の2つの番組でもノミネートされており、エミー賞史上類を見ない快挙となりました。

近年では、チャリティ活動への参加など、女優業以外での活動も積極的に行っています。2024年7月にはチャリティ活動中に体調不良で病院に搬送されるという報道がありましたが、詳細については明らかにされていません。

ブライス・ダナーは、舞台、映画、テレビドラマと、それぞれの分野で確固たる地位を築き、長く第一線で活躍し続ける稀有な女優です。その魅力的なハスキーボイスと洗練された演技力は、多くの観客を魅了し続けています。彼女のキャリアは、まさにハリウッド黄金期の女優像を体現するような輝かしいものであり、これからもその活躍に期待が高まります。

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