ブラジル電力

ブラジル電力（Eletrobrás）

ブラジル電力（Centrais Elétricas Brasileiras S.A）、通称エレトロブラス（Eletrobrás）は、ラテンアメリカ地域において最大級の規模を誇る電力会社です。ブラジルの電力供給体制の中核を担う存在として知られ、国内経済の発展に不可欠な役割を果たしています。

会社概要と国内での役割

1962年に設立されたエレトロブラスは、ブラジル国内で供給される電力のおよそ6割を賄っています。同社が保有する発電容量は合計で40,000MWに達し、その大部分を水力発電所が占めています。特に、南米最大級の巨大水力発電所であるイタイプダムにおいては、その資本の過半数を保有しており、国の電力供給安定化に大きく貢献しています。ブラジル経済において極めて重要な位置を占める企業であり、首都ブラジリアに本社を置きつつ、主要な業務オフィスはリオデジャネイロに構えています。

株式上場と国際展開

エレトロブラスは、ブラジル国内のボベスパ（サンパウロ証券取引所）に加え、ニューヨーク証券取引所やマドリード証券取引所にも株式を上場しており、国際的な市場からも注目を集めています。また、ブラジル国内だけでなく、ラテンアメリカ諸国やアフリカ大陸へと活動範囲を広げています。海外展開には積極的な姿勢を見せており、ペルーのリマやウルグアイのモンテビデオには代表事務所が設置されています。

海外進出戦略

海外事業の推進を目的として、2008年4月7日にはAct 11.651という法規が採択されました。これにより、合弁事業や特別目的会社（SPC）の設立を通じた電力業務の海外展開が推進されています。エレトロブラスの海外進出戦略は、主に以下の3つの目標を掲げています。

1. ラテンアメリカ諸国との電力ネットワークの連結強化。
2. ブラジルと周辺国間での電力供給連携の深化と地域統合の実現。
3. ブラジル国外の電力市場への参入による新たな発展機会の創出。

これらの目標達成に向け、ラテンアメリカおよびアフリカの複数の国々で具体的な交渉が進められています。例えば、アンゴラ、アルゼンチン、コスタリカ、ニカラグア、ペルー、ベネズエラといった国々とは、発電所の共同建設や電力の相互融通に関する話し合いが行われています。さらに、ボリビア、コロンビア、中国、エクアドル、エルサルバドル、ギニアビサウ、ガイアナ、モロッコ、ナイジェリアなど、広範な国々とも協力関係構築に向けた交渉の場が設けられています。

環境保護への取り組み

エレトロブラスは、事業活動と並行して環境保護活動にも力を入れています。地球環境保全に向けた国際的な枠組みである「アジェンダ21」や「京都議定書」といった合意に基づき、独自の社内ガイドラインを策定し、環境負荷の低減に努めています。水力発電を主軸としていることも、温室効果ガス排出抑制に貢献する一因となっています。

エレトロブラスは、ブラジルの電力供給を支える基幹企業として、国内経済の発展に寄与するだけでなく、海外市場での存在感を高め、環境問題への意識も持ち合わせる、多角的な側面を持つ企業と言えるでしょう。

出典: 提供情報に基づき作成

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