ブラックバーン スクア

ブラックバーンスクア (Blackburn Skua)

ブラックバーンスクア（Blackburn Skua）は、イギリスのブラックバーン社によって製造された単発レシプロの複座艦上爆撃機で、独自の設計と新技術を取り入れた機体です。この爆撃機はイギリス海軍の艦上機として初の急降下爆撃機であり、引き込み脚や可変ピッチプロペラを採用した初の艦載機でもあります。日本語ではスキュアとも表記されますが、正確な発音は「スクア」に近いです。

歴史的背景と開発の経緯

スクアは、1934年にイギリス航宙省が発行した仕様書O.27/34に基づいて設計されました。この仕様は急降下爆撃機の開発を求めましたが、同時に複座戦闘機としての機能も求められていました。つまり、雷撃任務以外の多様な任務に対応できる汎用機が望まれていたのです。この背景には、イギリス海軍の航空機生産における優先度が低かったことがあります。

その結果、ブラックバーン社は仕様書に基づきB-24という呼称で航空機の設計を進め、1935年には原型機の発注を受けました。初飛行は1937年2月に実施され、その高い急降下操縦性能が評価されました。

第二次世界大戦における運用

第二次世界大戦が始まると、スクアはイギリス海軍の航空母艦アーク・ロイヤルに配備され、特に第800飛行隊や第803飛行隊での活動が目立ちました。この飛行隊のスクアが1939年9月にドイツの潜水艦U-30を攻撃し、さらに同年9月26日にはDo 18飛行艇を撃墜するなど、戦闘機としての実績も残しました。このように緊急事態においても急増する戦闘機の不足から、一部のスクア機は積極的に戦闘機任務を果たしました。

しかし、スクアは急降下爆撃機としての設計が優先されたため、単純に戦闘機と比較することは不適切です。実際には、急降下爆撃のための装備が十分でなく、1941年にようやく本格的な急降下爆撃の訓練が始まったため、戦闘機としては局所的に役割を果たすことが主でした。

性能と特徴

スクアはその設計において多くの新技術を取り入れ、従来の艦上爆撃機とは異なる特性を持ちました。しかし、エンジンにはブリストル社製のマーキュリーエンジンを搭載するはずでしたが、優先順位が下がったためパーシュースエンジンが装備されました。この変更により、スクアの性能は影響を受けることになりました。

また、スクアには前方機銃が4挺搭載されており、戦闘機としての運用も意識されていましたが、これが逆に爆撃機としての性能を削ぐ結果にもつながりました。これらの点から、実戦での使用における性能は中途半端な側面が見受けられました。

戦後の評価と影響

スクアは1941年まで第一線での使用が続きましたが、その後は標的曳航機や訓練機として活用されることとなり、1945年に姿を消しました。総生産数は192機で、マーキュリーを搭載したものは生産されないままとなりました。

評価としては「旧式戦闘機」とされることが多いですが、これはスクアが本来の急降下爆撃機としての特性を無視されている評価とも言えます。スクアはイギリス海軍にとって重要な機体であり、その設計思想には次世代への技術転換の意図が含まれていました。従って、スクアはその時代の艦上爆撃機やその後の航空機設計における転換点となったと評価されるべき存在です。

スクアは、艦隊航空隊における重要な位置を占め、当時の航空機技術において多くの革新をもたらしました。

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