ブラックバーン バッカニア

ブラックバーン バッカニア (Blackburn Buccaneer)

ブラックバーン バッカニアは、イギリスの航空機メーカー、ブラックバーン・エアクラフト社によって設計された艦上攻撃機であり、イギリス海軍および空軍で広く使用されました。この機体は複座式で、主要な任務は敵のレーダーを避けながら低空を飛行し、核攻撃を行うことに特化しています。また、音速には達しないものの、敏捷性と機体の強度を兼ね備えた全天候能力を持つことが特徴です。

開発の背景

1950年代初頭、ソ連海軍の大規模な艦艇建造計画が明らかになると、イギリス海軍はこれに対抗する手段を見つける必要がありました。この際、敵艦隊を核攻撃で一掃するために、低空飛行による攻撃機の開発が求められ、ブラックバーン社はこのニーズに応える形でB.103を設計しました。1953年に審査が行われ、B.103が採用されることが決定づけられました。

1958年には前量産型が初飛行を果たし、1960年に「バッカニア」という名称が付けられました。これはカリブ海における歴史的な海賊に由来します。同年、ブラックバーン社はホーカー・シドレーに吸収されたため、その後の改良や整備も同社が行います。1961年には複数の飛行隊で運用が始まり、1963年に更新型バッカニアS.2が初飛行しました。

設計と特徴

バッカニアは中翼型の機体で、エリアルールが適用された胴体を持ち、爆弾倉が下部に配置されています。また、艦上機としての利用を考慮して、主翼は後退翼形状を採用し、空母での運用を可能にするために油圧で折り畳むことができます。コクピットはタンデム式で、前席にはパイロット、後席にはオブザーバーが座ります。

特筆すべき点は、翼に搭載された吹き出しフラップによる境界層制御機構です。この技術は低空での飛行時に提供される揚力を強化し、発艦や着艦時の性能を向上させます。

兵装と運用

バッカニアは、胴体と主翼下に搭載可能な高い兵装能力を持つ攻撃機であり、最大搭載量はS.1型で約8,000ポンド、S.2型で16,000ポンドです。核攻撃を主眼として開発され、初期には核弾頭を搭載するためのミサイルが考案されたものの、その後は自由落下型核爆弾の使用へとシフトしました。

バッカニアは1961年から本格運用が開始され、1960年代から1970年代にかけてイギリス海軍および空軍で重要な役割を果たしました。運用中、1979年までの間にイギリス軍はバッカニアの機体を使用して数々の演習に参加し、特にその低空侵攻能力において高い評価を受けていました。

結果と退役

最終的には、湾岸戦争においてイギリス空軍の一部隊によって任務を遂行し、その後1994年に退役となります。また、南アフリカ空軍でも運用され、国境戦争等で能力を発揮しました。バッカニアのデザインは、その後の攻撃機に多大な影響を与え、特にトーネードIDSなどの後継機の設計に寄与しました。全体として、ブラックバーン バッカニアは、その独自の設計と運用能力で名を馳せた歴史的な航空機であると言えます。

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