ブラッド・シュガー・セックス・マジック

レッド・ホット・チリ・ペッパーズ『ブラッド・シュガー・セックス・マジック』

レッド・ホット・チリ・ペッパーズ（以下、レッチリ）の5枚目のスタジオアルバム『ブラッド・シュガー・セックス・マジック』は、1991年にリリースされました。ワーナー・ブラザースとの契約後、リック・ルービンをプロデューサーに迎え、ガス・ヴァン・サントがブックレットと「アンダー・ザ・ブリッジ」のミュージックビデオ制作に参加するなど、豪華な制作陣で制作されました。チーフ・エンジニア兼キーボード奏者としてブレンダン・オブライエンが参加し、ミキシングはルービンとオブライエンが担当しました。

概要

このアルバムからは、「Under the Bridge」「Give It Away」「Suck My Kiss」「Breaking the Girl」「If You Have to Ask」がシングルカットされ、「Give It Away」はグラミー賞を受賞、「Under the Bridge」は全米シングルチャートで2位を記録しました。音楽評論家のスティーヴ・ヒューイは、このアルバムを「チリ・ペッパーズにとって今までで最高の作品になるだろう」と絶賛しました。また、『Bassist magazine（U.K)』が選ぶ「GREATEST BASS ALBUMSトップ100」で1位を獲得し、『ローリング・ストーン誌が選ぶオールタイム・ベストアルバム500』では186位にランクインするなど、音楽業界からも高い評価を得ています。

制作

アルバムは、メンバー全員が洋館に泊まり込み、共同生活をしながら制作されました。この制作の様子は、「サック・マイ・キッス」のプロモーションビデオや、映像作品『Funky Monks』で見ることができます。アルバム収録曲のほとんどは、この洋館での作業中に作曲・録音されました。メンバーは、半年足らずの間に30曲近くを制作するという、メジャーバンドとしては異例のハイペースで作業を進めました。サウンドの目標は「1970年代のローファイなハードロックとファンクの融合」でした。メンバーとリック・ルービンは議論を重ねながら制作を進め、曲のアイデアは、アンソニー・キーディスの歌詞、フリーとジョン・フルシアンテのギターリフ、チャド・スミスのドラムパターンを基に、ジャムセッションを重ねて完成させていきました。ルービンは、フリーのベースプレイに対し、休符を効果的に用いた重みのあるファンキーな演奏を、フルシアンテには、前作とは異なる個性を前面に出したギタープレイを要求しました。キーディスの歌詞は、以前までの性的倒錯やユーモアに加え、アナーキー性や論理性の高いシリアスなテーマ（平等や強欲への抵抗）を盛り込んだものとなりました。制作時に録音された未収録曲の一部は、後のアルバム『カリフォルニケイション』までのB面曲として使用されています。また、「Soul To Squeeze」は本作制作時に作曲されましたが、収録は見送られました。

収録曲について

1. パワー・オブ・イコーリティ - The Power of Equality
フルシアンテ復帰後のライブでアンコールとして演奏されることが多い曲。ヒューマニティをテーマに、ユーモアと皮肉を交えた歌詞が特徴です。

2. イフ・ユー・ハフ・トゥ・アスク - If You Have to Ask
シングルカットされた曲。フルシアンテのサイケデリックなギターと、冷めた雰囲気のライミングが特徴です。テクノやダブのリミックスも制作されました。

3. ブレーキング・ザ・ガール - Breaking the Girl
シングルカットされたワルツのバラード。キーディスは、この曲を歌うのが苦手だと自伝で語っています。

4. ファンキー・モンクス - Funky Monks
映像作品と同名の曲。冒頭のスラップ音は、ベースではなくギターで演奏されています。

5. サック・マイ・キッス - Suck My Kiss
シングルカットされた曲。ベース、ギター、バスドラムのユニゾンリフが特徴です。

6. アイ・クド・ハヴ・ライド - I Could Have Lied
アコースティックギターで歌われるバラード。キーディスが、短期間交際していたシネイド・オコナーに向けて書いた曲です。

7. メロウシップ・スリンキー・イン・Bメジャー - Mellowship Slinky in B Major

8. ライチャス & ウィッキド - The Righteous & The Wicked

9. ギヴ・イット・アウェイ - Give It Away
グラミー賞を受賞したシングルカット曲。ライブの定番曲として演奏されています。ミュージックビデオは、フランス人写真家ステファン・セドゥナウィが撮影しました。曲の後半には、ブラック・サバスの「Sweet Leaf」のリフが使用されています。ライブでは、パブリック・エネミーの「You're Gonna Get Yours」がイントロとして演奏されることが多いです。

10. ブラッド・シュガー・セックス・マジック - Blood Sugar Sex Magik
アルバムのタイトル曲。冒頭の高い音は、ギターのヘッド部分の弦を弾いて出しています。

11. アンダー・ザ・ブリッジ - Under the Bridge
シングルカットされ、全米2位を記録したバラード。アルペジオを基調にした美しいギタープレイは、『ローリング・ストーン誌が選ぶオールタイム・グレイテスト・ギター・ソングス100』で98位にランクインしました。

12. ネイキッド・イン・ザ・レイン - Naked in the Rain
スミスの教則ビデオでフリーと共に演奏された曲。歌詞には、ドリトル先生が登場します。

13. アパッチ・ローズ・ピーコック - Apache Rose Peacock

14. グリーティング・ソング - The Greeting Song
キーディスは、リック・ルービンに強いられて作った曲なので、あまり気に入っていないと自伝で語っています。

15. マイ・ラヴリー・マン - My Lovely Man
亡くなったギタリスト、ヒレル・スロヴァクについて歌った曲です。

16. サー・サイコ・セクシー - Sir Psycho Sexy
メロトロンを使用した長尺のファンキーナンバー。

17. ゼイアー・レッド・ホット - They're Red Hot
ロバート・ジョンソンのカバー。野外で録音され、スミスは素手でドラムを叩きました。

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