ブラッド・スウェット・アンド・ティアーズ

ブラッド・スウェット・アンド・ティアーズ（Blood, Sweat & Tears）

ブラッド・スウェット・アンド・ティアーズ（BS&T）は、1960年代後半から1970年代にかけて活躍したアメリカのロックバンドで、その名はジョニー・キャッシュの楽曲から由来しています。

バンドの成り立ち

1967年、アル・クーパーはブルース・プロジェクトを離れ、新たな音楽活動を模索します。彼はボビー・コロンビーに相談し、バンドのメンバー募集をほぼ任せる形となりました。その後、スティーブ・カッツが加入し、彼らは数々の音楽番組やコンサートで活動を開始しますが、経済的な理由からスタートは苦しみました。そのため、カッツは新たにバンドを結成し、クーパーの音楽的ビジョンの具現化に向けて進めることを提案します。

このようにして結成されたブラッド・スウェット・アンド・ティアーズは、その後コロムビア・レコードと契約を結び、ジョン・サイモンをプロデューサーに迎えます。彼のもとで、クーパーは多様なアレンジを取り入れ、特にストリングスやホーン・セクションが目を引くファースト・アルバム『子供は人類の父である (Child Is Father to the Man)』を1968年に発表しました。

このアルバムは、サイケデリック・ロックの流行から一線を画し、ビッグバンドやヨーロッパのポップスなどからの影響を受けながら、ボサノヴァやフォークアーティストの楽曲も取り入れたユニークな作品となりました。このアルバムは後に高く評価され、バンドの名を広める要因となります。

バンドの変遷

しばらくして、契約期間の満了などにより、ランディ・ブレッカーやジェリー・ワイスといったメンバーが脱退し、バンドの構成が大きく変わります。アル・クーパーに代わり、デヴィッド・クレイトン・トーマスが新たなボーカリストとして参加しましたが、彼の個性的で力強いボーカルスタイルは賛否を呼び、多くのメンバーが脱退する結果となりました。

ロックとジャズの融合を図りつつ、厚みのあるホーンセクションを強調したサウンドで人気を博したブラッド・スウェット・アンド・ティアーズは、特にコロンビーのドラミングが注目され、他のミュージシャンからも高い評価を受けます。彼はニューヨーク市立大学シティカレッジを卒業し、後にコロムビア・レコードの副社長になるという切り口からも、その才能を発揮しました。

代表的な作品

バンドのセカンド・アルバム『血と汗と涙』は1969年にリリースされ、グラミー賞の最優秀アルバム賞を受賞し、ブラス・ロックの象徴的な存在となりました。しかし、その成功の陰にはメンバー間の緊張があり、特にクレイトン・トーマスのワンマン的な振る舞いが多くのメンバーに反発を招きます。

1971年には初めての日本公演を行い、その後もメンバーは徐々に入れ替わりながらも活動を続けます。デヴィッド・クレイトン・トーマスが2004年に脱退した後も、バンドは新たなメンバーを迎え入れ、アメリカ国内外でのライブ活動を続けています。

ディスコグラフィ

• - 『子供は人類の父である』 - Child Is Father to the Man (1968年、Columbia)
• - 『血と汗と涙』 - Blood, Sweat & Tears (1968年、Columbia)
• - 『ブラッド・スウェット&ティアーズ3』 - Blood, Sweat & Tears 3 (1970年、Columbia)
• - 『B, S&T:4』 - B, S & T 4 (1971年、Columbia)
• - 『ニュー・ブラッド』 - New Blood (1972年、Columbia)
• - 『ノー・スエット』 - No Sweat (1973年、Columbia)
• - 『ミラー・イメージ』 - Mirror Image (1974年、Columbia)
• - 『ニュー・シティー』 - New City (1975年、Columbia)
• - More Than Ever (1976年、Columbia)
• - 『ブランド・ニュー・デイ』 - Brand New Day (1977年、ABC)
• - 『ニュークリア・ブルース』 - Nuclear Blues (1980年、MCA LAX Records)
• - ライブアルバム『イン・コンサート』 - In Concert (1976年、Columbia)

このように、ブラッド・スウェット・アンド・ティアーズは、多様なスタイルを持ち、時代の先端を行く音楽を展開した伝説のバンドとして今なお多くのファンに親しまれています。

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