ブラバム・BT44

ブラバムBT44：F1黄金期の象徴、その開発から活躍、そしてその後まで

ゴードン・マレーの手による名車、ブラバムBT44は、1974年から1976年にかけてフォーミュラ1で活躍したマシンです。その優れた設計と、ドライバーたちの活躍によって、F1の歴史に名を刻むこととなりました。本稿では、BT44とその改良型であるBT44Bについて、開発から戦績、そしてその後までを詳しく解説します。

BT44の誕生と設計

BT44は、マレーが前年に設計したBT42をベースに開発されました。BT42の特徴を受け継ぎつつ、いくつかの改良が加えられています。特に目を引くのは、2分割ラジエターを収めた独特のスポーツカーノーズと、三角断面モノコック構造です。これらの設計は、空力性能と軽量化に大きく貢献しました。

BT44Bへの進化

1975年には、BT44をさらに改良したBT44Bが登場します。BT44Bは、フロントトレッドの縮小や、ボディ下面へのグラスファイバー製スプリッターの装着など、空力性能の向上に重点が置かれた改良が施されています。スプリッターは負圧を発生させ、約60%ものダウンフォースを生み出すことに成功しました。この改良によって、BT44Bはコーナーリング性能を大幅に向上させました。

1974年の戦績：若き才能とベテランの融合

1974年シーズン、ブラバムチームはカルロス・ロイテマンと新人ドライバーのリチャード・ロバーツを起用しました。第3戦南アフリカGPでは、ロイテマンがBT44で初優勝を飾ります。これはロイテマン自身にとっても初のF1優勝となりました。シーズン中盤からはカルロス・パチェが加入し、チームの戦力アップに貢献。さらに、プライベートチームであるゴールディ・ヘキサゴン・レーシングがBT44を購入し、ジョン・ワトソンがドライブしました。最終戦アメリカGPでは、ブラバムチームが1-2フィニッシュを達成する快挙を成し遂げ、ワトソンも5位入賞。このシーズン、ブラバムは3勝を挙げ、コンストラクターズランキングで5位を獲得しました。シーズン終了後には、富士スピードウェイでデモンストレーションランが開催され、ロイテマンと日本のドライバー桑島正美がBT44を走行させました。

1975年の戦績：コンストラクターズタイトルへの挑戦と苦悩

1975年には、マルティーニ・エ・ロッシをメインスポンサーに迎えました。パチェがブラジルGPで優勝、ロイテマンもドイツGPで優勝するなど、好成績を収め、コンストラクターズチャンピオンシップの獲得も視野に入ってきました。しかし、チームが来季用のアルファロメオ製フラット12気筒エンジンを獲得し、マレーが新型マシンBT45の設計を開始したため、BT44Bの開発は中断。シーズン後半は失速し、最終的にコンストラクターズランキング2位となりました。

1976年以降：新たなチームへの移籍と活躍の終焉

ブラバムがアルファロメオエンジンへの移行を決めたことで、BT44BはドイツのRAMレーシングに売却されました。RAMレーシングでは複数のドライバーがドライブしましたが、残念ながらポイントを獲得することはできませんでした。こうして、BT44、BT44BのF1での活躍は幕を閉じました。

まとめ：F1の歴史に刻まれた名車

ブラバムBT44とその進化型BT44Bは、ゴードン・マレーの天才的な設計と、優れたドライバーたちの活躍によって、F1の歴史に大きな足跡を残しました。その革新的な設計と、数々の勝利は、F1マシンの進化に大きな影響を与えたと言えるでしょう。BT44は、F1黄金期を象徴する名車として、これからも語り継がれていくことでしょう。

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