ブラバム・BT48

ブラバムBT48：潜在能力と信頼性の狭間を駆け抜けた挑戦者

1979年のF1世界選手権で、ブラバムチームは革新的なマシン、ブラバムBT48を投入しました。設計を手掛けたのは、数々の名車を世に送り出した名エンジニア、ゴードン・マレーです。このマシンは、ブラバムにとって初のグラウンドエフェクトカーであり、当時最先端の空力技術を駆使した設計が大きな特徴でした。

グラウンドエフェクトとアルファロメオV12エンジンの融合

BT48の開発においては、空力性能の向上とエンジンの最適化が重要な課題でした。そのため、チームはそれまでの水平対向12気筒エンジンから、新開発のアルファロメオ製V型12気筒エンジンへと変更。このパワフルなエンジンは、BT48の高いポテンシャルを引き出すための重要な要素となりました。グラウンドエフェクトを生み出す複雑な形状のボディワークと、強力なV12エンジンの組み合わせは、予選でその速さを証明しました。ニキ・ラウダとネルソン・ピケという、当時最強クラスのドライバーを擁した布陣は、優勝争いも十分に期待できるものでした。

速さの裏に潜む、信頼性の課題

しかしながら、BT48は高いパフォーマンスを示す一方で、深刻な信頼性の問題を抱えていました。シーズンを通して、度重なる機械トラブルに見舞われ、完走率は著しく低迷。2人のドライバーの努力も虚しく、期待されたほどの結果を残すことができませんでした。予選では上位グリッドを獲得する場面もありましたが、レースでは完走すら難しい状況が続いたのです。

イモラでの輝きと、シーズンを通しての苦闘

信頼性の低さという大きな課題を抱えながらも、BT48はわずかながらも光る瞬間を見せています。イタリアのイモラで開催されたノンタイトルレースでは、ニキ・ラウダが優勝を飾りました。この勝利は、BT48が本来持つ潜在能力の高さを示すものであり、もし信頼性の問題が解決されていれば、シーズン全体の結果は大きく変わっていた可能性があります。しかし、シーズンを通して、BT48は他のチームのマシンに比べ、完走率が著しく低く、ドライバーズランキングもラウダが14位、ピケが16位と、期待を大きく下回る結果に終わりました。

スペック詳細



シーズンを通して

なお、シーズン開幕戦ではネルソン・ピケのみ前モデルのBT46を使用。また、14戦以降は、改良型のBT49が投入され、BT48はシーズン途中でその役目を終えています。

ブラバムBT48は、潜在能力の高さと同時に、信頼性の問題という大きな課題を抱えたマシンでした。その活躍は、短く激しい輝きを残し、F1の歴史にその名を刻んでいます。

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