ブラボー!若大将

映画『ブラボー！若大将』の魅力

加山雄三が主演する『ブラボー！若大将』は、1970年に公開された日本の名作映画であり、若大将シリーズの第15作でもあります。この作品は、社会人篇の第3弾として位置付けられ、当時の映画界で高い人気を誇る作品となりました。

作品の背景

仲代達矢の強い推奨によりシリーズは続けられている中で、若大将を演じる加山雄三自身が30代に差し掛かり、私生活においても転機を迎えていました。そのため、彼が若大将の役をいつまで続けていくか、という問題が浮上していました。『ゴー！ゴー！若大将』では、後に大矢茂が演じる二代目若大将の素質が暗示され、本作『ブラボー！若大将』でもその道筋が示されています。実際、この映画は後の『帰ってきた若大将』を除けば、シリーズ最後の海外ロケとなり、グアム島を舞台にしています。

物語のあらすじ

物語は、三矢物産坂の営業部で働く田沼雄一（加山雄三）を中心に展開します。雄一はテニスの選手であり、ビジネス面でも活躍を目指しています。しかし、恋人である百合子（高橋紀子）との関係に問題が生じ、事業団テニスの決勝戦で辛くも優勝を果たすものの、百合子からの愛情を感じられず心に痛手を負うことになります。百合子が別の男性と結婚する知らせを受けた雄一は、大きな失意に陥ります。

彼のおばあちゃん（飯田蝶子）は、雄一を励ますために「男は仕事だよ」と助言し、彼は仕事に打ち込む決意を固めます。しかし、提出した企画書が会社で受け入れられず、さらに上司とのトラブルも重なり、彼は辞表を提出することになります。失恋と失業の痛手に見舞われた雄一は、傷心旅行としてグアム島へ向かいます。

そのグアムで、青大将（田中邦衛）が経営する石山エンタープライズで働く松井節子（酒井和歌子）と出会います。節子は、雄一が購入したブローチを通じて彼を知っており、彼の優しさに触れて心を癒されていきます。彼女との出会いを通じて、雄一は日本に帰国し新たなスタートを切ることを決意します。

スタッフとキャスト

本作の監督は岩内克己が務め、制作には藤本真澄、大森幹彦、安武龍が関与しています。また、脚本は田波靖男が手掛け、撮影は中井朝一が担当しました。音楽は広瀬健次郎が担当し、華やかなテーマを映画全体を通じて盛り上げます。

主要キャストには、加山雄三をはじめ、有島一郎、飯田蝶子、田中邦衛、さらには高橋紀子といった実力派が揃っており、映画に多くの色味を与えています。

音楽と印象的なシーン

特に印象深いのは、オープニングやエンディングに使用された主題歌「恋のコンパス」や、雄一が過去を回想するシーンで使われた「世界のどこかで」で、これらの楽曲が作品に深みをもたらしています。全体的に見ると、失恋や再起のストーリーは視聴者に感動と勇気を与え、映画のラストには新たな希望を感じられます。

『ブラボー！若大将』は、若大将シリーズの中でも特に印象に残る作品の一つで、主人公の心の成長を描いた心温まるストーリーが、多くのファンに支持され続けています。

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