ブランドプリカ

ブランドプリカとは

ブランドプリカとは、クレジットカードの決済ネットワークを利用して決済を行うプリペイドカードのことです。「国際ブランド付プリペイドカード」や「ブランドプリペイドカード」とも呼ばれています。このカードは、事前にチャージした金額の範囲内で利用できるため、使いすぎを防ぐことができます。

概要

日本国内で発行されるブランドプリカは、資金決済に関する法律によって、第三者型前払式支払手段または資金移動として扱われます。大きく分けて、再チャージが可能なリチャージャブル型と、使い切りのワンタイム型があります。

ワンタイム型は、原則として購入時に個人情報の登録は不要です。一方、リチャージャブル型は、ほとんどの場合、カード利用者の情報登録が必要です。銀行口座やクレジットカードとの紐付けなしで利用できるため、これらの登録は必須ではありませんが、個人情報を登録しないと一部機能が制限される場合があります。

ブランドプリカは、クレジットカードの決済ネットワークを利用するため、国内外のVisaやMastercardなどの国際ブランド加盟店でクレジットカードとほぼ同じように利用できます。ただし、一部の加盟店や決済方法では利用できない場合もあります。

クレジットカードとの大きな違いは、ブランドプリカが事前にチャージが必要な点です。このため、チャージ残高以上の決済はできません。また、多くのブランドプリカには盗難や不正利用による損害を補償するサービスが付帯していませんが、これはチャージ金額以上の損害が発生しないためです。

Suicaや楽天Edyなどの電子マネーと比較すると、ブランドプリカはカード番号に紐付けられた残高を管理者の口座で管理するため、インターネットショッピングでも利用しやすいという利点があります。また、再発行などの手続きにも柔軟に対応できます。ブランドプリカは、国際ブランドの決済に対応している加盟店であればほとんどの場合で利用できるため、大手チェーン店など多くの場所で利用可能です。

歴史

ブランドプリカの歴史は、2011年6月にライフカードがオンライン決済専用のVISAバーチャルプリペイドカード「Vプリカ」を提供開始したことから始まりました。その後、2013年3月に楽天カードがMastercardブランドの「楽天バーチャルプリペイドカード」の提供を開始しました。これらの初期のサービスは、リチャージはできませんでしたが、残高を次のカードに引き継ぐことができました。

2013年9月には、ココカラファインとクレディセゾンの提携により、実店舗でも利用できるリチャージャブル型のVISAプリペイドカード「ココカラクラブカード」が登場しました。2014年5月には、KDDIがau契約者向けに「au WALLET」、ウェブマネーが「WebMoneyカード」をそれぞれ提供開始しました。これらはMastercardブランドです。

2015年以降、ソフトバンク、ローソン、LINE、NTTドコモなどが次々とプリペイドカード市場に参入し、VISA、JCB、Mastercardなど様々なブランドのプリペイドカードが登場しました。特に、2016年11月にはインコム・ジャパンがワンタイム型のプリペイドカード「バニラVisaギフトカード」をコンビニエンスストアで販売開始し、ブランドプリカの利用がさらに拡大しました。2018年11月には、JALペイメント・ポートが発行会社となり、MasterCardプリペイド機能を持つ「JAL Global WALLET」が発行開始されました。

利用者

ブランドプリカは、銀行口座の登録や与信審査が不要で、発行手続きが簡単です。クレジットカードの審査が難しい方でも、クレジットカードと同等の利便性を享受できます。また、資金決済に関する法律では、利用者の年齢制限がないため、未成年者でも利用可能です。特にワンタイム型では個人情報の登録が不要な場合もあり、匿名での利用も可能です。

制約

ブランドプリカはクレジットカードの決済システムを流用しているため、一部の決済業務には制約があります。

定期的な支払い

クレジットカード決済は、Base1（オーソリ）とBase2（売上集計）の二つのステップで行われます。Base1ではカードの有効性をチェックし、Base2で決済代金の引き落とし処理を行います。クレジットカードの場合、Base1とBase2で金額や回数が異なっても後から引き落としが可能ですが、ブランドプリカではチャージ残高が不足すると決済ができません。特に、月額利用料などの定期的な支払いの場合、加盟店によっては初回のみBase1を行い、2回目以降はBase2のみを行うため、残高不足だとイシュアに損害が発生する可能性があります。このため、月額利用料の支払いではBase1の時点で決済が受け付けられない場合があります。

リアルタイムで信用照会ができない決済

かつては、少額のクレジットカード決済ではインプリンタを使用し、Base2のみを発行するケースがありましたが、ブランドプリカではチャージ残高以上の決済がされないように、決済の都度Base1の処理が必要です（ゼロフロアリミット）。そのため、カード券面に「ELECTRONIC USE ONLY（電子機器のみでの使用限定）」と記載されていることが多いです。また、カード番号が券面に印字されていることで、物理的にインプリンタが使えないようになっています。海外ではインプリンタを使用した決済が主流の地域もあるため、海外での使用には注意が必要です。

脚注

関連項目

プリペイドカード
資金決済に関する法律

外部リンク

資金決済に関する法律 - e-Gov法令検索
国際ブランド付プリペイドカードって何？ - ウェイバックマシン（2016年4月7日アーカイブ分）
一般社団法人日本資金決済業協会
MoneyT Global

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