ブラン2.01

ソ連がかつて威信をかけて推進したスペースシャトル計画「ブラン計画」において、3番目に建造が進められた機体が「2.01」です。正式なシリアルナンバーは11F35 K3とされています。この機体は、ロシアの広大な湖であるバイカル湖にちなんで、「バイカル」（Baikal）という愛称で呼ばれることが計画されていました。一般的には「ブラン2.01」、「OK-2.01」、「シャトル2.01」など様々な名称で知られています。

「2.01」は、ブラン計画における第2シリーズの1号機として位置づけられています。第1シリーズのブラン（唯一軌道に到達した機体）や、シャトル試験機であるプチーチュカの組み立て、及び試験飛行から得られた貴重なフィードバックを基に、いくつかの改良が施されました。中でも、第1シリーズからの主要な変更点として、コックピットの位置が調整されたことが挙げられます。これは、より実用的な運用を見据えた改修であったと考えられます。

この「2.01」には、具体的な飛行計画も存在しました。1989年時点の計画では、1994年には初の有人飛行テストフライトを実施することが目標とされていました。この有人飛行に備え、機体には生命維持装置や、万が一の事態に備えた二つの射出座席が装備される予定でした。搭乗員としては、イゴール・ボルク氏がコマンダー、アレクサンドル・イワンチェンコ氏がフライトエンジニアを務める、2名の宇宙飛行士が予定されていました。しかし、ソ連の財政難や政治状況の変化によりブラン計画全体が縮小・中止されたため、これらの計画は実現しませんでした。

「2.01」の組み立ては、ブラン計画が中止された時点で完了しておらず、約30パーセントから50パーセント程度の段階で作業が中断されました。そのため、現在もこの機体は未完成のまま存在しています。

その後の「2.01」に関しては、一時的な混乱を招く情報が流れました。2006年には、ドイツのジンスハイム自動車・技術博物館に展示されるという誤った報道がなされたのです。しかし、この報道は事実とは異なりました。実際に同博物館が購入し、2008年から展示しているのは、軌道飛行能力を持たないシャトル試験機である「OK-GLI」（大気圏内での滑空・着陸試験に用いられた機体）であり、「2.01」ではありませんでした。

現在、「2.01」はロシア国内、具体的にはモスクワ州ジュコーフスキィにあるラーメンスコィエ空港に保管されています。未完成ながらも、冷戦期の宇宙開発競争が生んだ巨大な遺産として、その姿をとどめています。計画されていた輝かしい未来は訪れませんでしたが、この機体はソ連の技術力と、当時の野心的な宇宙計画を物語る貴重な存在と言えるでしょう。その詳細な技術や保管場所については、いくつかの文献やオンライン情報源で確認することができます。

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