ブリ (チャガタイ家)

ブリ（Büri）について

ブリ（生年不詳 - 1252年）は、モンゴル帝国の皇族で、チンギス・ハーンの次男チャガタイの長男モエトゥケンの息子です。彼の名前は、歴史書によっていくつかの異なる表記が見られます。

『世界征服者史』や『集史』では「بورى Būrī」
『元史』では「不里」または「孛里」
『元朝秘史』では「不舌里」

と記されています。

生涯

オゴデイの命令による西征では、ブリはバトゥの指揮下に入り、叔父のバイダルと共に従軍しました。しかし、ある勝利の宴席において、ブリはバトゥを激しく侮辱する発言をしてしまいます。このことが、後に彼の運命を大きく左右することになりました。

モンケがハーンに即位した後、ブリはバトゥによって殺害されました。これは、かつての宴席での侮辱に対する報復であるとされています。ブリの短くも波乱に満ちた生涯は、モンゴル帝国初期の権力闘争の一端を物語っています。

子孫

『集史』チャガタイ・ハン紀の諸子表によると、ブリには5人の息子がいたと記録されています。また、『五族譜』のチャガタイ家系図によると、ブリにはオルジェタイという娘がおり、彼女はフレグの十一男モンケ・テムルの妃となったとされています。これらの記録から、ブリの血筋はモンゴル帝国の様々な家系に繋がっていたことがわかります。

ブリの家系

ブリの家系は以下の通りです。

チャガタイ（Čaγatai 察合台／چغتاى Chaghatāī）
モエトゥケン（Mö'etüken مواتوكان Muwātūkān）
ブリ (Buri 不里／بورى Būrī)
アビシュカ (Abišqa ابیشقه Abīshqa)
威遠王アジキ (Aǰiqi 阿只吉／آجيقی Ājīqī)
カダカイ・セチェン (Qadaqai sečen قداقی سچان Qadāqaī Sachān)
ナリク (Naliqu تالیقو Nālīqū)
ブク (Buqu بوقو Būqū)
ブカ・テムル (Buqa Temür بوقا تیمور Būqā Tīmūr)
ブカ (Buqa بوقا Būqā)
アフマド (Aḥmad احمد)
ババ大王(Baba 八八／بابا bābā)
ハビル・テムル王 (Habil-temür 合賓帖木児／hābīr tīmūr)
カビル・テムル王 (Qabil-temür 合賓帖木児／qābīr tīmūr)
ユルトゥズ・テムル王 (Yultuz-temür 允禿思帖木児／yūldūz tīmūr)
シャーディー (ساتی／شادی sātī, šādī)
越王トレ (Töre oγul 禿剌／تولا اغول tūlā aghūl)
豫王アラトナシリ (Aratnaširi 阿剌忒納失里)
西安王ダルマ (Darma 答児麻)
エブゲン (Ebügen ابوكان Abūkān)

参考文献

ドーソン『モンゴル帝国史』第2巻（佐口透 訳注、東洋文庫 128）平凡社、1968年
* 村上正二『モンゴル秘史　チンギス・カン物語』第3巻（東洋文庫 294）、1976年、346-347頁


これらの資料を通じて、ブリという人物が、モンゴル帝国史において重要な役割を果たしたことが理解できます。彼の生涯は、モンゴル帝国の拡大と内部の権力闘争が複雑に絡み合っていた時代を象徴していると言えるでしょう。

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