ブリガム・ヤング

ブリガム・ヤングの生涯と影響

ブリガム・ヤング（Brigham Young）は、1801年6月1日にバーモント州で生まれ、1877年8月29日に亡くなったアメリカの著名な宗教家及び政治家です。彼は末日聖徒イエス・キリスト教会（モルモン教）内で圧倒的な影響力を持ち、1838年から1847年まで十二使徒定員会の2代目会長、1847年からは同教会の2代目大管長を務めました。ユタ州ソルトレイクシティを築いた功績から、ブリガム・ヤング大学の名にもその名が冠されています。

初期の経歴と教会への参加

ヤングは農家の家庭に生まれ、若いころから様々な職業に従事しました。彼は1824年にミリアム・アンジェリン・ワークスと結婚し、1830年に「モルモンの書」が出版された際、その教えに魅了されるようになりました。1832年に正式に教会に加入し、以後はモルモン宣教師として活動を開始することになります。彼の人生の転機は、1844年に教会の創始者であるジョセフ・スミスが殺害された後の後継者問題に関わることから始まります。

ユタ準州の初代知事

ブリガム・ヤングは、1847年にソルトレイクシティに入植し、ミラード・フィルモア大統領からユタ準州の初代知事に指名されました。彼の指導のもと、多くの開拓者たちがインフラ整備や灌漑、民兵の組織化を行い、地域の発展に尽力しました。ユタでは初の議会が成立し、知事としても様々な施策を推進しました。特に、初の郵便制度を設立したことは、彼の手腕を象徴する出来事となっています。

教会の指導者として

教会の大管長に就任したヤングは、教徒たちをユタへ移動させ、大規模な開拓運動を展開しました。また、彼は多婚についても積極的に支持し、この慣習が広がる基盤を築きました。彼のもとで、多くの女性が教会に入信し末日聖徒の教義に基づく結婚に加わりました。ヤングは生涯で55人の妻を持ち、多くの子供をもうけましたが、これに関しては論争も多く存在します。

人種問題と聖職の禁

ヤングは、黒人教会員から聖職を剥奪する方針を推進し、特に1848年からはアフリカ系黒人が聖職を持つことを禁止しました。這う背景には、モルモン教の初期において黒人教会員の扱いが曖昧であったことが挙げられます。彼の発言には大きな影響力があり、後の時代まで続く教会の人種政策に影響を与えました。

アメリカ政府との緊張関係

ヤングの指導の下、モルモン教徒によるユタの開拓は順調に進みましたが、彼はアメリカ合衆国政府との関係でも多くの摩擦がありました。連邦政府からの圧力に抵抗し、ユタ戦争という形で対立が深まることになりました。ヤングは、連邦軍との戦闘を管理しながら、時には独裁的とも見なされるリーダーシップを発揮しました。彼の行動は彼の信者たちだけでなく、アメリカ政府とも緊張を生む要因となったのです。

マウンテンメドーズの虐殺

1857年には、マウンテンメドーズの虐殺という悲劇的な事件が発生し、ヤングの関与や指導力について議論が巻き起こりました。この事件では、モルモン教徒と先住民族の連合が移民を襲撃し、多くの死者を出しました。ヤングの指導による開拓地域の治安管理の難しさを示す出来事でもあったのです。

教育への貢献

また、ヤングは教育にも力を入れており、ユタ大学やブリガム・ヤング大学の設立に尽力しました。彼は教育の重要性を強調し、教会の教えを基にした教育制度を築くことに寄与しました。彼の改革は、現在のユタ州及び教会の教育機関にも大きな影響を与えています。

結論

ブリガム・ヤングの影響は宗教、政治、社会の多くの側面に及び、彼の指導の下でモルモン教徒は特異なアイデンティティを確立しました。多婚問題や人種政策、そして最新の教育改革に至るまで、彼の遺した足跡は今なお議論を呼ぶ重要なテーマとなっています。彼の一生は、開拓者精神や宗教的情熱の象徴であり、アメリカ合衆国における特殊な歴史の一部を形成しています。

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