ブルカン・カルドゥン

ブルカン・カルドゥン：モンゴルの聖なる山

ブルカン・カルドゥンは、モンゴル国のヘンティー県に位置するヘンティー山脈にそびえる神聖な山です。この山は、モンゴル族の発祥地として称えられ、シャーマニズムに基づく山岳信仰の象徴として知られています。ブルカン・カルドゥンは、チンギス・カンの故郷であり、伝説によれば彼や彼の一族の埋葬地とされています。

名称の由来

「ブルカン」という名称は、古代ウイグル語に由来し、「仏陀」や「神」を意味しています。一方、「カルドゥン」は「孤嶺」を示し、アルタイ語の研究からは「ポプラの茂みに覆われた山」を意味するとも考えられています。これを総合すると、ブルカン・カルドゥンは「神の山」あるいは「丘」と解釈することが可能です。

チンギス・カンの伝説

『元朝秘史』の記述によれば、大湖を渡ったモンゴル族の祖、ボルテ・チノとその妻コアイ・マラルは、このブルカン・カルドゥンに身を寄せ、最初の子であるバタチカンをここで出産したとされています。また、若き日のチンギス・カン、テムジンが父イェスゲイを失った際も、彼とその家族はブルカン・カルドゥンの山麓で暮らしていたと伝えられています。この地は、チンギス・カンにとって特別な場所であり、彼が敵から逃れた際には、山中で身を隠すために奔走したと言います。これに感謝した彼は、「朝ごと祭り、日ごとに祈る」と誓ったと言われています。

このような背景から、チンギス・カンの一族はブルカン・カルドゥンの周辺に住んでいたと推測されています。

考古学的調査

チンギス・カンの納骨地がブルカン・カルドゥン周辺に存在すると考えられ、1961年から1981年にかけて旧東ドイツによる調査が行われました。さらに1990年代には日本・モンゴル合同のゴルバンゴル計画が進められましたが、地元住民の意向を尊重し、発掘調査は行われませんでした。その後も調査は続行され、特に2001年以降は日本の主導による発掘が行われており、チンギス・カンに関連する遺跡の確認も進んでいます。

世界遺産登録

ブルカン・カルドゥンは、その文化的・歴史的意義から1996年に「モンゴルの聖なる山々」として暫定リストに登録されました。そして、2015年には正式に世界遺産として認定されました。この登録は、以下の基準を満たしていることが評価された結果です。

• - (4) 人類の歴史上重要な時代を示す建築様式や景観の例
• - (6) 顕著で普遍的な意義を持つ出来事や信仰に関わるもの

結論

ブルカン・カルドゥンは、ただの自然の名所ではなく、モンゴルの文化と歴史の重要なシンボルであることが理解されます。チンギス・カンにまつわる多くの伝説、考古学的調査、そして世界遺産としての登録は、この山の重要な地位を一層強調しています。モンゴルの人々にとって、この地は今なお敬虔な信仰と誇りの対象であり続けています。

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