ブルック砲

ブルック砲について

ブルック砲（Brooke rifle）は、南北戦争の期間中に南軍によって使用された艦載用及び要塞用の前装式施条砲で、アメリカ連合国海軍の士官であるジョン・ブルックによって設計されました。1861年から1865年の間、バージニア州リッチモンドやアラバマ州セルマで製造され、多様なバリエーションが作られました。

設計と製造

ブルック砲はその特異なデザインで知られています。特に、粗い仕上げの砲身と、砲身後部を補強するための錬鉄製の帯金具が特徴です。砲身自体は製造が容易な鋳鉄で作られていますが、薬室部分には高圧に耐えるために錬鉄の帯が巻かれています。この技術は、北軍のパロット砲と似ていますが、パロット砲が1枚の帯であるのに対し、ブルック砲は2インチの幅のものを2枚または3枚組み合わせて補強されていました。また、施条の数は砲のサイズに関わらず7本で、右回りのデザインが採用されています。

リッチモンドのトリディガー鉄工所とセルマの海軍工廠で製造されたブルック砲のタイプは、製造場所によって異なるマーキングが施されています。たとえば、セルマで製造されたものには「S」の刻印、トリディガー製には「TF」が刻まれています。また、火災の影響で一時的にリッチモンドで加工された砲身には「R.N.O.W」の刻印が見られます。

主な種類

6.4インチ施条砲

特に注目すべきは6.4インチの単帯型施条砲です。14門が製造されたことが報告されていますが、実際のトリディガーの記録では11門とされています。初期には装甲艦CSSバージニアに使用され、現存するものもあります。

7インチ施条砲

次に、7インチ型の施条砲は1861年から製造されました。多くの砲がCSSバージニアの旋回砲として搭載されました。また、1863年から1864年にかけては54門が製造されたものの、鋳造の不具合によってそのほとんどが出荷されていないという状況も見られました。

8インチ施条砲

また、8インチ施条砲も製造されており、1864年に4門がトリディガーで作られました。これらはCSSバージニアIIにも搭載されましたが、現存するものは確認されていません。

ブルック滑腔砲

ブルックは様々な滑腔砲の設計も行い、一部はセルマやトリディガーで製造されましたが、製造数は少数に留まりました。

砲弾の仕様

ブルックの施条砲は、徹甲弾と榴弾の両方を発射可能でした。徹甲弾は平らな先端を持つ反跳防止の設計で、榴弾は球状の先端を持っていました。滑腔砲もまた、多用途な弾薬を使用することができました。

結論

ブルック砲はその独自のデザインと製造技術により、南北戦争時の砲兵戦において重要な役割を果たしました。保存状態の良い現存砲も多く、この砲の歴史的意義を示す貴重な資料となっています。

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