ブルトラム

トルコのブルサを走る路面電車：ブルトラム

ブルサはトルコ北西部に位置する歴史的な都市です。この都市では、近代的なライトレールと、歴史的な路面電車が共存するユニークな交通システム「ブルトラム」が運行されています。ブルトラムは、ブルサ都市圏自治体が所有するブルラス（BURULAŞ）によって運営されており、地下鉄や路線バスなど他の公共交通機関と連携して、市民の移動を支えています。

ブルトラムの歴史

ブルサにおける路面電車の計画は、20世紀初頭から存在していました。第一次世界大戦を経て、運営組織の設立やインフラ整備が進められましたが、当時は開通には至らず、建設された発電所の電力は他の産業用途に転用されました。その後、長らく路面電車の導入は実現しませんでしたが、2011年に保存路面電車路線であるT3号線が建設され、同年中に営業運転を開始しました。本格的なライトレール路線であるT1号線は、2012年から建設が始まり、2013年10月12日に開通しました。続くT2号線は、経済情勢の不安定さやインフレの影響で建設が遅れ、2022年7月2日に営業運転を開始しました。現在、ブルトラムはT1、T2、T3の3系統で運行されています。

ブルトラムで使用される車両

T1号線とT2号線では、トルコ国内で生産された最新の超低床電車が使用されています。一方、歴史的価値のあるT3号線では、ドイツから譲渡された旧型車両が運行されています。これにより、ブルトラムは近代性と歴史性を兼ね備えた魅力的な路面電車システムとなっています。

T1・T2号線:

これらの路線で使用されているのは、「シルクワーム」と呼ばれる車両です。これはトルコのダーマズラ（Durmazlar）社が開発した、トルコ初の国産超低床電車です。T1号線には片運転台車両、T2号線には両運転台車両が導入されています。国産車両の導入は、トルコの技術力の向上を示す象徴的な出来事と言えるでしょう。

T3号線:

T3号線では、ドイツのデュワグ社が製造したM6C型2車体連接車と、ゴータ車両製造で製造されたゴータカーが運行されています。M6Cは、かつてボーフム（ボーフム/ゲルゼンキルヒェン市電）で活躍していた車両で、T3号線には3両が譲渡され活躍しています。ゴータカーは、ドイツ各地の路面電車から譲渡された車両に加え、イスタンブールの保存路面電車を経由して再譲渡された車両も存在します。2022年時点では4両が在籍していました。これらの車両は、ブルサの街に独自の雰囲気と歴史を感じさせる貴重な存在です。

ブルトラムの現状と将来

ブルトラムは、ブルサ市民の日常生活に欠かせない交通手段となっています。今後、さらなる路線延伸や車両更新など、更なる発展が期待されます。また、観光客にとっても、ブルサの街並みを巡るのに最適な交通手段として、魅力的な存在です。歴史と現代が融合したブルサの路面電車システムは、今後も進化を続け、街の活性化に貢献していくでしょう。

参考資料

Kerem Oğuz Sımıt; Mehmet Rızelıoğlu; Turan Arsran (2016). “TÜİRKIYE’NİN İLK YERLI TRAMVAYİ İPEKBÖCEĞİ HATTI ÜZERİNE BIR ANALİZ”. Uludağ Üniversitesi Mühendislik Fakültesi Dergisi (Uludağ Üniversitesi) 21 (2): 489-498. https://dergipark.org.tr/tr/download/article-file/267984 2023年9月1日閲覧。
（トルコ語）“ブルラスの公式ページ”. 2023年9月1日閲覧。

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