ブルー・オイスター・カルト

ブルー・オイスター・カルト：50年以上にわたるロックの軌跡

ブルー・オイスター・カルト（Blue Öyster Cult、略称BÖC）は、1967年にニューヨーク州ロングアイランドで結成されたハードロックバンドです。ヘヴィメタルの先駆けとして知られ、現在も活動を続けるベテラン勢力です。代表曲である『(Don't Fear) The Reaper』『Godzilla』『Burnin' for You』など、多くの名曲がロック史に刻まれています。スキッド・ロウのセバスチャン・バックも彼らの熱狂的なファンの一人です。

結成から初期の活動

バンドの原点は、サンディ・パールマンが創作した詩「The Soft Doctrines Of Imaginos」の世界観をロックで表現するというコンセプトでした。彼は、アルバート・ブーチャードと共にメンバーを集め、「Soft White Underbelly」という名前で活動をスタートさせます。パールマンはマネージメントも担当し、精力的なライブ活動やレコード契約獲得に尽力しました。彼の詩は歌詞の重要な源となり、バンドの世界観を大きく形作ることになります。

1968年にはエレクトラ・レコードとアルバム制作契約を結びますが、リリースには至りません。その後、ボーカリストが交代し、エリック・ブルームが加入。1969年にはフィルモア・イーストでライブを行うものの、大きな成功は収められず、バンド名は幾度と変更を経て、1970年に「ブルー・オイスター・カルト」に落ち着きました。この間も楽曲制作は続けられ、エレクトラ・レコードからは300枚限定のシングルがリリースされています。

コロムビア・レコードからのデビューと全盛期

1972年、コロムビア・レコードからアルバム『Blue Öyster Cult』でデビューを果たします。特徴的な変形十字のシンボルマークもこの頃から使用されています。アルバムはビルボード200にランクインし、バーズやアリス・クーパーらとツアーを行い、知名度を上げていきました。レーベルは彼らをアメリカ版ブラック・サバスとして売り込もうと、次々とアルバムをリリースします。

1975年のライブアルバム『On your feet or on your knees』は大きな成功を収め、バンドは広く知られる存在となります。パティ・スミスがMCを務めたことも話題となりました。続く1976年の『Agents of Fortune』からは「(Don't Fear) The Reaper」が全米12位を記録、ゴールドディスクを獲得するなど、バンドの全盛期を迎えます。

『Spectres』(1977)では、エリック・ブルームによる日本語ナレーション入りの「Godzilla」が話題を呼びました。1978年のライブアルバム『Some Enchanted Evening』はプラチナアルバムとなり、レーザーシステムを使った派手なステージパフォーマンスでも注目を集めました。1979年には初来日公演も成功させます。

プロデューサー交代と新たなサウンド

1979年からは、トム・ワーマン、マーティン・バーチとプロデューサーが交代し、サウンドにも変化が見られます。『Cultösaurus Erectus』(1980)はイギリスでもヒットし、『Fire of Unknown Origin』(1981)からは「Burnin' For You」が全米トップ40入りするヒットとなります。しかし、この頃にはアルバート・ブーチャードの失踪という事件も発生します。

安定期、分裂、そして『Imaginos』

その後もアルバムリリースやツアーを続けましたが、セールスは下降気味となり、メンバーチェンジも繰り返されます。1987年にはエリック・ブルームとバック・ダーマの2人だけになり、バンドは事実上空中分解状態となりました。

しかし、1988年にリリースされたコンセプトアルバム『Imaginos』は、サンディ・パールマンが長年温めていた企画であり、ハワード・フィリップス・ラヴクラフトのクトゥルフ神話に基づいた作品として高い評価を受けました。このアルバム制作には、ジョー・サトリアーニやロビー・クリーガーといったゲストミュージシャンも参加しています。しかし、プロモーション不足もあり、商業的な成功は収められませんでした。

再起と現在

『Imaginos』以降は散発的な活動が続きましたが、1990年代後半から再び活発化します。1998年には10年ぶりのアルバム『Heaven Forbid』を、2020年にはオリジナルアルバムとしては19年ぶりとなる『The Symbol Remains』をリリース。2024年には、過去の音源をAI技術を用いて再構築したアルバム『Ghost Stories』も発売されました。現在もオリジナルメンバーを中心に、精力的に活動しています。

バンド名とシンボルの由来

バンド名は、サンディ・パールマンの詩「イマジノス」に登場する地球の歴史を監視するエイリアン組織の名前からとられました。変形十字のシンボルマークは、アルバムジャケットのデザインを担当したビル・ゴーリックが錬金術の記号を基にデザインしたものです。

メンバー

長年の活動の中で、多くのメンバーが入れ替わってきましたが、現在もエリック・ブルームとバック・ダーマを中心に、バンドは活動を続けています。彼らの音楽は、ハードロックの歴史に大きな足跡を残し続けていると言えるでしょう。

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