ブロックワイド

ブロックワイドとは

ブロックワイドは、ラジオ番組、特にワイド番組において用いられる制作・構成手法の一つです。これは、長時間の番組枠を複数の短い「ブロック」に分割し、それぞれのブロックを個別のスポンサーに販売するという形式をとります。そして、ワイド番組のパーソナリティは、これらの分割されたブロックを繋ぎ合わせ、番組全体を進行していく役割を担います。

ブロックワイドの形態

典型的な例として、1時間のワイド番組を10分ごとの6つのブロックに分割し、各ブロックを「コーナー番組」または「フロート番組」「箱番組」として、個別のスポンサーに提供します。これらのコーナー番組の間は、パーソナリティが自身のトークで繋いでいきます。

多くの場合、コーナー番組は事前に録音されたものが放送されますが、パーソナリティがワイド番組の流れで進行するケースや、スポットニュース、交通情報などがコーナー番組として扱われることもあります。ワイド番組は基本的に生放送であるため、コーナー番組の開始時間は厳密に定められておらず、分・秒単位での開始時刻は任意であることが多く、パーソナリティのトークによって時間配分が調整される特徴があります。

現在の状況

現在、このような形態を採用する番組は少なくなっていますが、AMラジオでは『ひろたみゆ紀のサンデー早起き有楽町』や『レコメン！』などが、部分的にこの形式を取り入れています。また、FMラジオでは『SCHOOL OF LOCK!』が比較的近い形態です。JFN系列の番組では、局ごとの飛び乗り・飛び降りを容易にするためにこの仕組みを部分的に利用しているものの、これは厳密にはブロックワイドとは異なります。

メリット

企画の実現性: スポンサーや広告代理店が持ち込んだ企画を番組内で実現しやすい点があります。例えば、スポンサーがイメージキャラクターとして起用したタレントが担当するコーナー番組を設けやすくなります。
聴取率の向上: 人気タレントを起用したコーナー番組は、ワイド番組全体の聴取率向上に繋がる可能性があります。1980年代から1990年代初頭にかけては、アイドルやロックバンドのメンバーが担当するコーナー番組が特に有効でした。
相乗効果: ワイド番組自体の人気が高まると、内包されるコーナー番組への注目度も上がり、聴取率調査で有利になることがあります。ワイド番組の企画力やパーソナリティの魅力が、新たなコーナー番組を生み出すこともあります。

デメリット

番組の流れの中断: コーナー番組の内容がワイド番組の性格や聴取者層と合わない場合、番組全体の流れを損ない、番組の人気を低下させる可能性があります。
時間配分の制約: コーナー番組は基本的に尺が厳密に決まっているため、時間配分を誤ると、パーソナリティのトーク時間が削られ、番組の進行に支障をきたす可能性があります。
番組の寿命を縮める: コーナー番組が乱立しすぎると、パーソナリティの個性が発揮できなくなり、番組全体の魅力が薄れて、リスナーが離れてしまう可能性があります。

過去のブロックワイド番組

特に、在京民放中波局の平日夜の若者向けワイド番組では、以下のような番組がブロックワイド形式を採用していました。

東京放送（TBSラジオ）
夜はともだち（1976 - 1982）
5スイート・キャッツ（1976 - 1977）
るんるんナイト ワオ!（1982 - 1983）
エド山口のまんてんワイド（1983 - 1984）
進め! おもしろバホバホ隊（1984 - 1986）
岸谷五朗の東京RADIO CLUB（1990 - 1994）
宮川賢の誰なんだお前は?!（1995 - 1998）

文化放送
ラジオで一番盛り沢山（1976 - 1977）
夜はラジオマガジン（1977 - 1978）
オレンジ通り五番街（1978 - 1979）
吉田照美の夜はこれから てるてるワイド → 吉田照美のてるてるワイド（1980 - 1985）
新てるてるワイド 吉田照美のふッかいあな（1985 - 1987）
東京っ子NIGHT お遊びジョーズ → お遊びジョーズ（1987 - 1989）
今夜もBREAK OUT ラジオバカナリヤ（1989 - 1990）
キッチュ! 夜マゲドンの奇蹟（1990 - 1992）
夜マゲ スペシャル INGRY'Sの一触即発金曜日（1990 - 1992）
サスケの夜はこんびんば!（1992 - 1993）
斉藤一美のとんカツワイド（1993 - 1997）
古本新之輔 ちゃぱらすかWOO!（1997 - 2002）
SUPER STAR QR（2002 - 2003）

ニッポン放送
大入りダイヤルまだ宵の口（1975 - 1981）
くるくるダイヤル ザ・ゴリラ（1981 - 1983）
ヤングパラダイス（1983 - 1990）
内海ゆたおの夜はドッカーン!（1990 - 1991）
伊集院光のOh!デカナイト（1991 - 1995）
キャイ〜ン天野ひろゆきのMEGAうま!ラジオバーガー!!（1995）
ゲルゲットショッキングセンター（1995 - 1999）

まとめ

ブロックワイドは、番組制作における柔軟性と収益性を高めるための手法ですが、過度なブロック化は番組の質を低下させるリスクも伴います。番組の構成を検討する際には、メリットとデメリットを十分に考慮する必要があります。

出典・引用

三才ブックス「ラジオパラダイス」1988年8月号
上記在京局各番組の項（特に「てるてるワイド」や「くるくるダイヤル ザ・ゴリラ」のそれぞれ概略項も）

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