ブロモメタン

ブロモメタン：特性、用途、規制、および健康への影響

ブロモメタン(CH3Br)は、別名臭化メチル、メチルブロマイドなどとも呼ばれるハロゲン化アルキルです。無色で、わずかに甘いクロロホルム様の臭気を持ち、不燃性です。クロロメタンと似た性質を持っています。自然界ではアブラナ科植物や海藻類などに微量に含まれますが、主にメタノールと臭化水素の反応によって人工的に製造されます。

製造と貯蔵

工業的には、メタノールと臭化水素を反応させて製造され、圧縮冷却して液化後、耐圧容器に貯蔵されます。直射日光を避け、冷暗所で保管することが重要です。

用途と規制

モントリオール議定書以前は、ブロモメタンはイチゴなどの農作物の土壌消毒や種子滅菌、害虫駆除のための燻蒸剤として広く用いられていました。特に、種子滅菌においては、発芽しない種子の除去が重要であり、ブロモメタンは他の方法に比べて安全に使用できました。また、メチル化剤や洗浄溶媒としても利用されていました。しかし、オゾン層破壊物質であるため、モントリオール議定書によって製造と使用が厳しく規制されています。現在では、代替剤が利用できない特殊な状況下でのみ使用が認められています。アメリカ合衆国では2007年当時も大量に生産されており、カリフォルニア州では殺虫剤として大量に使用されていたという報告もあります。ゴルフ場の芝生への使用も規制されています。

オゾン層破壊

ブロモメタンは、オゾン層破壊係数が塩素の60倍と非常に高く、オゾン層破壊への影響が深刻であるため、モントリオール議定書において規制対象物質とされています。

健康への影響

ブロモメタンは人体に有害な影響を及ぼします。高濃度の蒸気を吸入すると、頭痛、めまい、吐き気、嘔吐、衰弱などの症状が現れ、重症の場合は興奮、痙攣、急性躁病などを引き起こす可能性があります。低濃度でも長期にわたって吸入すると、気管支炎や肺炎になるリスクがあります。皮膚に付着すると、赤く腫れてかゆみが出、水ぶくれができることもあります。目にも深刻な障害を与えます。致死に至る濃度は暴露時間によって変化します。また、呼吸器、腎臓、神経系への影響も懸念されており、動物実験では有害性が確認されています。日本では毒物及び劇物取締法により劇物に指定され、労働安全衛生法では第2類特定化学物質に指定されています。

まとめ

ブロモメタンは強力な殺菌・殺虫効果を持つ一方で、オゾン層破壊や人体への深刻な健康被害のリスクを持つ物質です。その使用は厳しく規制されており、取り扱いには細心の注意が必要です。代替物質の開発と利用が、環境保全と人々の健康を守る上で重要となります。

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