ブローム・ウント・フォス P.194

ブローム・ウント・フォス P.194概説

ブローム・ウント・フォス P.194は、第二次世界大戦中のドイツで開発が進んだ対地攻撃機および戦術爆撃機としての設計案です。この機体は、複合動力システムを採用しており、ユニークな非対称な形状を持っている点が特徴です。1944年1月、ドイツ航空省が旧式のユンカース Ju 87に代わる機体の仕様を求めた結果、ブローム・ウント・フォスはP.194を含むいくつかの設計案を提出しました。

P.194の基本的な設計は、同社のBV 141のコンセプトを基にしており、主胴体の機首部分にはプロペラを駆動するためのエンジンが搭載されています。尾翼も主胴体からの適切な距離に配置され、全体的なバランスが考慮されています。乗員と武装はナセル内部に収められ、主胴体から独立した形で設計されており、主翼によって連結されています。

特筆すべきは、P.194の設計におけるエンジンの配置です。コックピットポッドの後方にはターボジェットが追加され、これによりプロペラから得られる推力とのバランスをとる意図がありました。この革新的な設計により、強力な兵装が機体前方に集中することが可能となり、最大500kgの爆弾を搭載することができました。

設計のバリエーション

ブローム・ウント・フォスはP.194のいくつかのバリエーションを提案しました。以下にその主な設計案を示します。

• - P.194.00-101: 翼幅16mのバージョンで、ジェットの吸気口がコックピットポッドの下部に位置しています。
• - P.194.01-02: 翼幅15.3mで、バブルキャノピーを装備。ジェットの吸気口はコックピット下部に配置。
• - P.194.02-01: 他のバージョンと同様ですが、ターボジェットの位置がコックピット下部に変更されています。
• - P.194.03-01: P.194.01-02に類似するが、ジェットの吸気口が翼根部に移動されています。

主要諸元

設計案P.194.01についての主要諸元は以下の通りです。

• - 乗員: 1名
• - 全長: 12.1m
• - 翼幅: 15.3m
• - 全高: 3.7m
• - 主翼面積: 36.4 m²
• - 空虚重量: 6,500kg
• - 全備重量: 9,350kg
• - 動力: BMW 801D（14気筒空冷星形ピストンエンジン1基、出力1,200kW）とユンカース Jumo 109-004ターボジェット（推力8.7kN）

性能

• - 最高速度: 775km/h
• - 航続距離: 1,070km
• - 最大上昇限度: 11,100m

兵装

• - 機銃: 前方に固定された30mm MK 103機関砲2門、及び20mm MG 151/20機関砲2門
• - 爆弾: 最大500kgを収容可能な爆弾倉

残念ながら、ブローム・ウント・フォスのこの4つの設計案は全てドイツ航空省によって採用されることはありませんでした。戦術爆撃の役割に関して選ばれたのは、メッサーシュミット Me262であり、この機体は後にドイツ空軍の主力機の一つとなります。P.194は、革新的な設計と独自の特徴を持ちながらも、実際の運用には至らなかったという、歴史の中の一つの興味深い事例と言えるでしょう。

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