BMW 801

BMW 801について

BMW 801とは、ドイツのBMWが第二次世界大戦時に製造した航空機用の空冷二重星型14気筒エンジンです。本エンジンはもともと大型機向けとして開発されましたが、その後、フォッケウルフのFw 190のエンジンとして採用され、開発方針が固まりました。このエンジンはFw 190のほかにも、ドイツ空軍の多くの大型機（Ju 88など）に搭載されました。

開発の背景

BMW 801は、BMW 132エンジンの改良を経て登場しました。1930年代、BMWはプラット＆ホイットニー社製のR-1690ホーネットのライセンスを取得し、その技術を基にBMW 132を開発、これが特にJu 52で広く使用されました。しかし、1935年にドイツ航空省が大型で高出力のエンジンを開発させるためのプロジェクトを立ち上げた際、BMWはブラモ技術者を引き抜き、自社のBMW 139エンジンを提案しました。最初は大型機使用を想定していた139でしたが、Fw 190への採用提案によって開発が進展しました。

このエンジン開発中の大きな課題はシリンダーの冷却問題でした。通常の冷却手法が使えなかったFw 190では、プロペラスピナーの後ろにファンを設置し、エンジンの動力でシリンダーを冷却するシステムが採用されました。試作機がオーバーヒートに苦しんだため、最終的には開発陣が新たにエンジンを設計し、こうしてBMW 801が誕生しました。

エンジンの特性

BMW 801は14気筒の設計で、進化した先進技術が導入されています。従来のBMW 139と比べ、シリンダー数が減っていますが、一つのシリンダー当たりの排気量は増加しています。また、冷却には金属ナトリウムが封入された中空排気バルブや、機械式燃料噴射装置が搭載されています。コマンドゲレートと呼ばれる自動調整機能も備え、エンジンの操作負担を減らすよう設計されています。

派生型

BMW 801は多くの派生型が存在し、それぞれ異なる用途に応じて改良が施されています。例えば、BMW 801Aは最初に開発された型で、続いてギアボックスの変更によりBMW 801Bが登場しました。さらに、BMW 801Cは冷却性能を改良した後継モデルで、Fw 190に搭載されたバリエーションもあります。最終的にはG型及びH型など、重爆撃機用に改造されたモデルも開発されました。特にBMW 801Dはオクタン価100の燃料を使用し、さらなる出力向上を図りました。

結論

BMW 801はその設計の堅牢さから多くの航空機に使用され、当時の航空機エンジン技術に一石を投じました。その設計思想は現代の航空機にも影響を与え続けています。エンジンの進化は、当時のドイツ空軍の航空機運用において重要な役割を果たしたと言えるでしょう。

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