ブンガワンソロ

映画『ブンガワンソロ』の概要

『ブンガワンソロ』は、1951年に制作された日本[[映画]]で、市川崑が新[[東宝]]で手掛けた最後の作品です。作品の舞台は、太平洋戦争終結前夜のインドネシア・ジャワ島。日本軍の脱走兵と村の娘との切ない恋物語が描かれています。この映画は、映画技術にも力を入れた作品で、日本[[映画]]技術賞特殊技術賞を受賞しています。昭和26年度の藝術祭にも参加作品として名を連ねました。

あらすじ

1945年8月、ジャワ島の奥深くに位置する村に、3人の日本軍の脱走兵、深見、武、野呂が逃げ込むところから物語は始まります。彼らは、野呂がマラリアにかかってしまったため、スヘルマン一家に匿われることになります。村の娘サリヤは、日本兵に対して敵意を抱いていましたが、彼らの世話をする中で深見に恋心を抱くようになります。

ある日、村を出る準備をする彼らですが、深見は「村に残る」と宣言。深見もまた、サリヤに心を寄せていたのです。その時、足を負傷した小田切軍曹が村に現れ、彼らを連行しようとしますが、スヘルマンが祭りの席に招待し、酔っ払った小田切と交流が生まれます。しかし、武は不運な事故に見舞われ、物語は急展開を迎えます。

そして、脱走兵たちを追う憲兵が村に現れ、緊迫した状況に陥ります。サリヤは深見を村から逃がすため、市場に行くふりをしてこっそりと馬車に乗せ、彼を連れ出す努力をします。人間の絆と愛、そして戦争の悲劇が交錯する感動的なストーリーが展開されます。

スタッフとキャスト

この作品の主要なスタッフには、製作の佐藤一郎、原作の金貝省三、脚本の和田夏十、そして撮影の横山実が名を連ねています。また、監督の市川崑は、後にこの作品についての詳細を語らなかったことでも知られています。全編を通じて演じたキャストには、深見伍長役の池部良、武上等兵役の森繁久彌、野呂上等兵役の伊藤雄之助、サリヤ役の久慈あさみなどが出演しました。

特筆すべきは、出演者たちがマレー語でセリフを演じたことで、すべてのセリフに字幕が付けられています。これは、当時の文化的背景も反映された特異な試みでした。

制作の背景

『ブンガワンソロ』は市川監督にとって特に不運な作品でした。撮影中、市川はオープンセットでの撮影に制約を受け、日照不足によって制作が遅れがちになりました。その結果、新[[東宝]]との間に摩擦が生じ、監督としてのクレジットが市川の名から外される事態になりました。これは市川にとって、大きなストレスとなり、最終的に彼は東宝に移籍するきっかけとなったとされています。

また、映画の公開当初、主題歌「ブンガワンソロ」は作詞作曲者が不詳でしたが、後にインドネシアのグサン・マルトハルトノが関与していたことが明らかになりました。

逸話

撮影中、久慈あさみの演じるサリヤが馬車を駆るシーンで、馬が暴走し、彼女は負傷するという事故が発生しました。この怪我も映画の完成に影響を与えました。なお、今作の上映時間は92分とされることが多いですが、実際の収録時間は84分であることが確認されています。

『ブンガワンソロ』は、その美しい映像と切ない物語で、多くの人々に愛され続けている邦画の一つです。

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