ブートレッグ・シリーズ第1〜3集

ボブ・ディランの『ブートレッグ・シリーズ第1〜3集』は、1991年にリリースされた3枚組のコンピレーション・ボックスセットです。このシリーズは、長年にわたり海賊盤でしか聴くことのできなかった貴重な音源を、公式にリリースする目的で始まりました。本作には、デビュー前の1961年から、アルバム『オー・マーシー』発表の1989年までの未発表曲や別テイク、ライブ音源などが収録されており、ディランの音楽の進化を辿る上で非常に重要な作品となっています。

収録内容

このボックスセットは、ディランの初期のフォーク時代から、エレクトリックサウンドへの移行、そして1980年代のサウンドまで、幅広い音楽スタイルを網羅しています。収録曲は以下の通りです。

Disc 1

初期のデモ音源やアウトテイクが中心で、1961年の「ハード・タイムズ・イン・ニューヨーク・タウン」から、1963年の「ラスト・ソーツ・オン・ウディ・ガスリー」まで、初期の貴重な音源を収録。
伝統的なフォークソングのカバーや、初期のオリジナル曲のデモバージョンなどが聴けます。
特に「トーキン・ジョン・バーチ・パラノイド・ブルーズ」や「フー・キルド・デイヴィー・ムーア？」など、ライブ音源も収録されており、当時の熱狂的なライブパフォーマンスを体感できます。

Disc 2

1963年から1974年の音源を中心に収録。
『ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム』や『追憶のハイウェイ61』など、重要なアルバムのアウトテイクや別バージョンが聴けます。
「ライク・ア・ローリング・ストーン」の初期バージョンや、「アイル・キープ・イット・ウィズ・マイン」のリハーサルテイクなど、ファンにはたまらない貴重な音源が満載です。
「ブルーにこんがらがって」や「愚かな風」など、『血の轍』の別テイクも収録されており、アルバムとは異なるアプローチを聴くことができます。

Disc 3

1975年から1989年までの音源を収録。
『欲望』のアウトテイクや、1976年のライブ音源など、後期のディランの音楽活動を辿ることができます。
「ブラインド・ウィリー・マクテル」や「シリーズ・オブ・ドリームズ」など、ファンに人気の高い未発表曲も収録されています。
* 『インフィデル』や『エンパイア・バーレスク』などのアルバムからのアウトテイクも含まれており、ディランの創作過程を垣間見ることができます。

リリースと評価

このボックスセットは、ビルボード200チャートで最高49位、全英アルバム・チャートで32位、日本のオリコンで74位を記録し、RIAAによってゴールド・ディスクに認定されました。その内容の充実度から、ファンだけでなく批評家からも高い評価を受けました。

日本では1991年に初回生産限定盤としてリリースされた後、1993年に通常盤として再発売されました。

まとめ

『ブートレッグ・シリーズ第1〜3集』は、ボブ・ディランの音楽キャリアにおける重要な作品であり、彼の音楽の深さと多様性を理解するための不可欠なコレクションです。未発表音源の数々を通じて、ディランの創作過程や音楽の進化を辿ることができる、ファン必携の一枚と言えるでしょう。

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