ブーミー・ペードネーカル

1989年 7月18日、インドのムンバイに生まれたブーミー・ペードネーカルは、ボリウッドを代表する女優の一人です。マラーター系とハリヤーンヴィ系のルーツを持ち、父親はかつてマハーラーシュトラ州政府の労働大臣を務め、母親は夫を口腔癌で亡くした経験から反煙草運動家として活動していました。

ペードネーカルはジュフーのアーリヤ・ヴィディヤ・マンディルで学びました。15歳の時、演劇学校ホイッスリング・ウッズ・インターナショナルへの進学を希望しましたが、両親のローンを組んで入学したものの、出席率の低さから退学処分となります。その後、彼女はヤシュ・ラージ・フィルムズに入社し、助監督としてのキャリアをスタートさせました。そこでシャノー・シャルマのアシスタントとして約6年間勤務する傍ら、わずか1年半で学費ローンを完済するなど、勤勉な一面も持ち合わせていました。

女優としての躍進

2015年、ペードネーカルはシャラット・カタリヤ監督の『ヨイショ! 君と走る日』で女優デビューを飾りました。この作品で肥満体型の女性を演じるため、役作りのために体重を12キログラム増やし、撮影終了後に減量するというストイックな姿勢を見せました。ソーシャルメディアで公開した減量方法も話題となり、公開時にはほぼ元の体重に戻していました。彼女の演技は批評家から絶賛され、ラジーヴ・マサンドは「自信に満ちた演技で映画の主役を食った」と評しました。この作品はスリーパーヒットとなり、彼女はフィルムフェア賞の新人女優賞を獲得しました。同年には、ジェンダー不平等をテーマにしたミニウェブシリーズ『Man's World』にも出演しています。

2017年には、インドが抱える屋外排泄の問題を扱った社会派作品『Toilet: Ek Prem Katha』でアクシャイ・クマールと共演しました。映画自体への評価は賛否ありましたが、ペードネーカルの演技は高く評価されました。この作品は興行収入30億ルピーを超える大ヒットとなり、ボリウッド映画史上屈指の成功を収めました。同年後半には、アーユシュマーン・クラーナーと再びタッグを組んだ『Shubh Mangal Saavdhan』に出演。インディアン・エクスプレスのシューブラ・グプタは、恋人の愛をひたむきに求める純粋な女性を演じた彼女のパフォーマンスを称賛しました。この作品もヒットし、ペードネーカルはフィルムフェア賞の主演女優賞にノミネートされました。2018年には、Netflixのアンソロジー映画『慕情のアンソロジー』の一篇に出演。ラジャ・センは彼女の演技を「忘れられないほど素晴らしい」と評しました。

2019年以降も、彼女の活躍は続きます。同年3月公開の『Sonchiriya』では、役作りのために2ヶ月半にわたるトレーニングを積み、格闘技や射撃を習得しました。同年10月には、実在する高齢射撃手の半生を描いた伝記映画『Saand Ki Aankh』でタープシー・パンヌと共に主演を務めました。役柄のモデルとなった本人たちと交流し、射撃訓練を受けるなど徹底した役作りを行いましたが、撮影中に補綴メイクによる皮膚アレルギーに悩まされるという苦労もありました。ミント紙は二人の演技を絶賛し、彼女たちはスター・スクリーン・アワードやフィルムフェア賞の審査員選出女優賞を受賞しました。

2019年末には、再びアーユシュマーン・クラーナーと共演した『Bala』、そしてカールティク・アーリヤン、アナーニャ・パンデイと共演した『Pati Patni Aur Woh』というヒット作に立て続けに出演しました。『Bala』では肌の色による偏見に苦しむ女性を演じましたが、自身の色白の肌とのギャップからキャスティングについて批判も上がりました。これに対し彼女は「女優はどんな役でも演じられるべき」と反論しました。『Pati Patni Aur Woh』では夫の不倫に悩む妻を演じ、批評家アヌパマ・チョープラーは彼女の演技が「映画を格上げし、愚かしいシーンを救った」と高く評価しました。これらの作品はそれぞれ興行収入10億ルピーを超える成功を収めました。

社会活動と評価

ザ・テレグラフ紙のプリヤンカー・ロイは、彼女の演技について「強い道徳心と不屈の精神を持つ、小さな町の出身の女性」を描くことに長けていると評しています。2018年にはフォーブス・インディア誌の「フォーブス30アンダー30」にも選出されました。

ペードネーカルは女優業と並行して、様々な社会問題にも積極的に関わっています。2019年には環境保護と地球温暖化に関する意識向上キャンペーンを立ち上げました。また、ボリウッドにおける男女間の賃金格差の是正も訴えています。2020年にはMTVインディアと協力し、若者の健康、特にリプロダクティブ・ヘルス・ライツに関する啓発キャンペーンも実施しています。

役作りのための献身的な努力、幅広い役柄を演じ分ける確かな演技力、そして社会への積極的な発言と活動により、ブーミー・ペードネーカルは現代インド映画界において重要な存在感を示しています。

主なフィルモグラフィー

ヨイショ! 君と走る日 (2015)
Man's World (2015)
Toilet: Ek Prem Katha (2017)
Shubh Mangal Saavdhan (2017)
慕情のアンソロジー (2018)
Sonchiriya (2019)
Saand Ki Aankh (2019)
Bala (2019)
Pati Patni Aur Woh (2019)
Shubh Mangal Zyada Saavdhan (2020)
Bhoot – Part One: The Haunted Ship (2020)
ドリーとキティ〜輝け人生!〜 (2020)

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