プジョー・504

プジョー504：フランスが生んだ耐久性と美しさを兼ね備えた名車

プジョー504は、フランスの自動車メーカー、プジョー社が1968年から1983年まで製造した中型乗用車です。アルゼンチンでは1999年までライセンス生産が続けられるなど、世界中で長く愛されたモデルと言えるでしょう。

洗練されたデザインと革新的な技術

ピニンファリーナによるデザインは、特徴的な吊り目ヘッドライトと、後方へなだらかに傾斜するトランクが印象的です。前身であるプジョー404を彷彿とさせるエレガントなスタイルは、時代を超えてなお魅力的です。

技術面では、4輪独立懸架サスペンションを採用（廉価モデルを除く）することで、快適な乗り心地を実現しました。この優れた走行性能と美しいデザインが評価され、1969年にはヨーロッパカーオブザイヤーを受賞しています。

多様なバリエーションとパワートレイン

エンジンは当初、1800cc直列4気筒OHVが搭載され、キャブレター仕様とインジェクション仕様が用意されました。その後、排気量2000ccのガソリンエンジンや、2100cc/2300ccディーゼルエンジンも追加され、ユーザーのニーズに合わせた選択肢が提供されました。

ボディタイプも豊富で、セダンの他に、実用的なワゴン、ピックアップトラック、そしてピニンファリーナがデザインを手掛けたクーペやカブリオレもラインナップに加わっていました。クーペとカブリオレには、ルノー・ボルボと共同開発したV6エンジンを搭載したモデルも存在しました。

世界中で活躍したプジョー504

プジョー504は、その高い耐久性から、アフリカや中南米など、過酷な環境下でも多くが使用されました。タクシーとして広く用いられた他、サファリラリーなどでも好成績を収め、その信頼性を証明しました。

日本におけるプジョー504

日本への輸入は、最初に新東洋企業がガソリンエンジンの対米仕様車を少量輸入しましたが、1973年頃に輸入は中止されました。その後、セゾングループの西武自動車販売が1980年代に2300ccディーゼルエンジンの504Dを輸入しました。英国仕様をベースとした右ハンドル、AT、クーラー、パワーステアリング付きの仕様で、当時としては比較的低価格だったことから、一定数の輸入が実現しました。しかし、後付けのクーラーなど、快適性では課題が残る部分もありました。

504の遺産

1979年に後継車種であるプジョー505が登場すると、プジョー504は徐々に生産が終了していきました。しかし、その美しいデザイン、高い信頼性、そして世界中で活躍した歴史は、今もなお多くの人々の記憶に刻まれています。プジョー504は、フランス車の歴史において、重要な位置を占めるモデルと言えるでしょう。

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