プラウベルのカメラ製品一覧

プラウベルカメラ製品一覧

ドイツ、そして日本において長く愛されたプラウベル社のカメラ製品について解説します。プラウベル社は、高品質なカメラ製造で知られており、その製品群は、写真の歴史において重要な役割を果たしました。

ドイツ時代

写真乾板使用カメラ

プラウベル社は、当初写真乾板を使用するカメラを製造していました。その中でも特に有名なのがマキナシリーズです。イカのベベやゲルツのテナックスといった競合製品もありましたが、プラウベルのマキナは堅牢性と操作性の高さで高く評価されていました。

マキナ (Makina、1911年または1912年発売): オリジナルマキナ、ベビーマキナとも呼ばれ、4.5cm×6cm判の写真乾板を使用していました。レンズはアンチコマー7.5cmF4.2、7.5cmF3、または7.5cmF2.8の固定式でした。
ステレオマキナ45×107 (1911年または1912年発売): 4.5×10.7cm判の写真乾板を使用するステレオカメラです。
ステレオマキナ6×13 (1926年発売): 6×13cm判の写真乾板を使用するステレオカメラで、ステレオマキナ45×107と同様の構造を持っていました。

ビトウィーンレンズシャッターマキナシリーズ

このシリーズは、レンズシャッターがレンズとレンズの間にある構造が特徴です。6.5×9cm判の写真乾板またはパックフィルムを使用し、アダプターを使用することで120フィルムも使用可能でした。

マキナI (Makina I、1920年発売): 初期型はアンチコマー10cmF4.2または10cmF3.2の固定式レンズでしたが、後期型ではレンズ交換が可能になりました。フレームファインダーと逆ガリレオファインダーを備え、ピントグラスも使用可能でした。1935年に製造中止となりましたが、千代田光学（後のミノルタ、現コニカミノルタ）がその設計を参考にオートミノルタなどを製造しました。
マキナII (Makina II、1933年発売): 距離計連動機能と閃光電球のシンクロ接点を装備し、高い評価を得ました。
マキナIIa (Makina IIa、1933年発売): アンチコマー10cmF4.2またはシュナイダー・クロイツナッハ製クセナー10cmF4.5の固定式レンズを使用していました。
マキナIIb (Makina IIb、1933年発売): アンチコマー10cmF4.2の固定式レンズを使用していました。

このシリーズには、様々なレンズが用意されていました。レンズ固定式のモデルには使用できませんでしたが、交換可能なレンズには以下のものがあります。

ラピッドヴァイトヴィンケルオルサー7.3cmF6.8
アンチコマー10cmF4.2、10cmF3.2、10cmF2.9 (3群3枚、3群4枚)
ズープラコマー10cmF3.9
テレマキナー21cmF5.4、21cmF6.3
テレペコナー3

ビハインドレンズシャッターマキナシリーズ

ビトウィーンレンズシャッターマキナシリーズとはレンズの互換性がありません。6.5×9cm判の写真乾板またはパックフィルムを使用し、アダプターにより120フィルムも使用可能でした。当時としては画期的な、レンズ交換可能なレンズシャッターシステムを採用していました。

マキナIIS (Makina IIS、1936年発売): Goetz Schrader設計。距離計連動はありませんでした。
マキナIII (Makina III、1949年発売): 全シャッタースピードで閃光電球が発光する「フルシンクロ」機能を搭載。
マキナIIIR (Makina IIIR、1953年発売): 最高速1/400秒のコンパーラピッドシャッターを搭載。

このシリーズにも、専用のレンズが用意されていました。

ラピッドヴァイトヴィンケルオルサー7.3cmF6.8
アンチコマー10cmF4.2、10cmF2.9 (3群4枚)
テレマキナー19cmF4.8、19cmF6.3
テレペコナー3S

120フィルム使用カメラ

ローロップ (Roll-Op): 6×4.5cm判または6×6cm判の蛇腹式カメラ。ローロップIはヘリコイドによるピント合わせ、ローロップIIは距離計連動式でした。

127フィルム使用カメラ

マキネッテ (Makinette、1930年代発売): 3×4cm判のカメラ。ズープラコマー5cmF2またはアンチコマー5cmF2.7レンズを搭載。裏蓋が完全に取り外せるため、フィルム装填が容易でした。

シートフィルム使用カメラ

プラウベル社は、高品質なビューカメラも製造していました。

ペコフレックス (Pecoflex): ビューカメラであるペコジュニアに一眼レフ機構を追加したカメラ。
マキフレックス (Makiflex、1962年発売): 一眼レフカメラ。
ペコジュニア (Peco Junior): 6×9cm判モノレールビューカメラ。
ペコプロフィア (Peco Profia) 8×10S、プロフィアS (Profia S)、プロフィアV (Profia V)、ペコプロフィアZT (Peco Profia ZT)、ペコプロフィアNT (Peco Profia NT): 様々なフォーマットに対応したモノレールビューカメラ。

日本時代

日本の土居君雄氏がプラウベル社を買収した後、日本光学工業（現ニコン）製のニッコールレンズを搭載したカメラが製造されました。

マキネッテ (Makinette、1976年発表): 6×7cm判カメラの試作品として開発されました。
プラウベルマキナ67 (Plaubel Makina 67、1978年発表、1979年発売): 6×7cm判カメラ。ニッコール80mmF2.8レンズを固定搭載。
プラウベルマキナ67W (Plaubel Makina 67W、1982年発売): 6×7cm判カメラ。ワイドニッコール55mmF4.5レンズを固定搭載。
プラウベルマキナ670 (Plaubel Makina 670、1984年発売): 6×7cm判カメラ。ニッコール80mmF2.8レンズを搭載し、220フィルムに対応。
プラウベル69Wプロシフト (Plaubel 69W Proshift): 6×9cm判カメラ。シュナイダー・クロイツナッハ製スーパーアンギュロンMC47mmF5.6レンズを固定搭載。レンズシフト機構を搭載していました。

その他

* プラウベルSSTベローズ: ライカマウント一眼レフカメラに取り付け可能なベローズユニット。アオリ機構を備え、マクロ撮影も可能でした。

プラウベル社のカメラは、その高い品質と革新的な技術で、多くの写真愛好家から支持されてきました。この一覧が、プラウベル社のカメラの歴史を知る上で役立つことを願っています。

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