プラット・アンド・ホイットニー PW2000

PW2000 高バイパスターボファンエンジン

PW2000は、軍用機F117のエンジンとしても名高い高バイパスターボファンエンジンであり、その推力範囲は約37,000から43,000ポンド（約165〜190キロニュートン）に達します。このエンジンはプラット・アンド・ホイットニーがボーイング757の動力源として開発したもので、ロールス・ロイスのRB211と競合する存在です。

設計と開発

PW2000は、2軸式の軸流圧縮機とアニュラ型燃焼器を採用しており、さらに高バイパスターボファンの特性を有しています。また、完全デジタルエンジン制御（FADEC）システムが搭載されており、これは1984年に民間用航空エンジンとして初めて認証を受けたものです。このエンジンの設計には、MTUエアロ・エンジンズが21.2%の権利を持ち、低圧タービンやタービン外殻といった重要な部品の開発および製造を担当しています。

PW2000シリーズの最初の型式であるPW2037は、ボーイング757-200に搭載され、デルタ航空が初の運航顧客となりました。このエンジンは、ボーイング757以外にも多様な機種に搭載されています。特に、C-17グローブマスターIIIという軍用輸送機にも採用されており、アメリカ国防総省ではその正式名称をF117として知られています。C-17にはF117-PW-100というエンジンが使用されていますが、初飛行は1991年に行われました。

さらに、PW2000はIl-96Mという航空機の動力としても利用されています。このモデルは1993年に初飛行を果たしました。

問題と検査

2008年には、PW2037型エンジンに関する緊急の点検がNTSB（アメリカ国家運輸安全委員会）によってFAAに推奨されました。これは、2008年8月に発生したタービンの事故を受けたもので、定期検査の頻度を増やすように指示されました。

最新の型式

最も新しい標準型PW2043は1994年に開発され、その推力は43,000ポンド（約190キロニュートン）を超え、以前のエンジンもこの型式に改修可能です。

搭載機

PW2000は以下の航空機に搭載されています：

• - ボーイング757
• - C-32
• - Il-96M
• - C-17グローブマスターIII

仕様 (F117-PW-100)

• - 形式: ターボファンバイパス比 6.0
• - 全長: 146.8インチ (3,729 mm)
• - 直径: 84.5インチ (2,146 mm)
• - 乾燥重量: 7,100ポンド (3,221 kg)

構成要素

• - 圧縮機: 軸流式
• - 燃焼器: アニュラ型
• - タービン: 8段軸流式
• - 使用燃料: Jet-A航空用ケロシン

性能

• - 推力: 38,400–43,734重量ポンド (170.81–194.54 kN)
• - 全圧縮比: 27.6-31.2

このエンジンは、その高性能と幅広い用途から、航空業界において重要な役割を果たしてきました。

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