プリビロフ諸島

プリビロフ諸島

プリビロフ諸島は、アラスカ州ニューエナム岬の南西およそ320キロメートル、そしてアリューシャン列島のウナラスカから北へ同じくおよそ320キロメートル離れたベーリング海に位置する島々です。主に4つの火山島で構成されており、その総面積は約200平方キロメートルに及びます。厳しい気候の下、島全体がツンドラと岩に覆われた独特の景観を見せており、その全域がアメリカ合衆国のアラスカ沿岸国立野生生物保護区として指定されています。行政上はアメリカ合衆国アラスカ州に属し、2000年の国勢調査によれば人口は684人でした。

島々

諸島を構成する主な島は、セントポール島とセントジョージ島です。この他に、セントポール島のすぐ近くにオッター島とウォルラス島という二つの小さな無人島が点在しています。

セントポール島：諸島で最も大きな島であり、その名は発見された日が聖ペテロ・パウロの祭日であったことに由来して名付けられました。2000年時点での人口は532人で、経済的にはズワイガニやオヒョウといった水産資源の漁獲に大きく依存しています。島内にはアメリカ沿岸警備隊の基地があり、かつては船舶の航行を支援するLORAN-Cシステムの主要な送信局が稼働していましたが、GPSの普及に伴いその役割を終え、廃止されました。また、アメリカ国立気象局の観測所も設置されています。
セントジョージ島：この島の命名は、1788年に諸島を訪れたガブリール・プリビロフの船名にちなんでいると考えられています。2000年時点の人口は152人で、主にこの地の先住民であるアレウト族の人々が居住しています。

歴史

プリビロフ諸島の歴史は、1767年に探検家のジョアン・シンドによって発見されたことに始まります。その後、1788年にロシアのガブリール・プリビロフが諸島を訪れ、大規模なオットセイの繁殖地であることを発見しました。これを機に、諸島はロシア領となりました。日本では、寛政7年（1795年）4月末、ロシアに漂流していた若宮丸の乗組員15名（津太夫や善六ら）が、オホーツクへの送還途中にプリビロフ諸島に二日間滞在したという記録が残っています。

1867年、アメリカ合衆国がアラスカを購入したのに伴い、プリビロフ諸島もアメリカ領となりました。アメリカ政府は1870年から1890年にかけて、この島でのオットセイ猟権をアラスカ商事会社に貸与しました。続いて1890年から1910年までの20年間は、北アメリカ商事会社がオットセイ狩りを独占しました。しかし、過剰な捕獲によりオットセイの個体数が激減したため、国際的な保護の動きが高まります。1911年には膃膭獣保護条約が締結され、オットセイの猟獲に制限が課されるようになりました。さらに、1966年にはオットセイ法が施行され、先住民であるアレウト族による伝統的な狩猟を除き、原則として全てのオットセイ猟が禁止されました。

オットセイと保護

プリビロフ諸島は、キタオットセイの主要な繁殖地として世界的に知られています。その重要性は歴史的に高く、1913年には古生物学者のロイ・チャップマン・アンドリュースが調査船でこの地を訪れました。彼が撮影したオットセイの営巣地の映像は、後のオットセイ保護運動に大きな影響を与えたとされています。諸島の歴史的なオットセイ猟関連施設や、オットセイとの関わりを示す文化的景観は、アメリカ合衆国国定歴史建造物地区にも指定されており、その保護の歴史と生態学的な重要性が認識されています。

プリビロフ諸島は、その厳しい自然環境、独自の生態系、そしてオットセイ猟という歴史的な背景から、地理的にも文化的にも重要な地域となっています。

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