プリンスエドワード郡 (バージニア州)

プリンスエドワード郡について

プリンスエドワード郡はアメリカ合衆国バージニア州の中央部に位置し、2010年の国勢調査によると人口は約23,368人です。郡庁所在地はファームビルという町で、ここは同郡で最も人口の多い地域でもあります。1980年から2000年の間、人口は19,720人から23,368人へと18.5%増加しました。

歴史的背景

プリンスエドワード郡は1754年にアメリア郡から分離して設立されました。この名称は、イングランド王ジョージ3世の弟であるヨークおよびオルバニー公爵プリンス・エドワードに由来しています。

郡の初期の定住地には、当初の庁舎が位置していたプリンス・エドワード・コートハウスがありました。1798年にファームビルが設立され、1912年には法人化されます。1871年には郡庁所在地がウォーシャムからファームビルに移転しました。

鉄道の発展

1850年代、サウスサイド鉄道がピーターズバーグとリンチバーグの間に建設され、ファームビルを通るルートが形成されました。この鉄道は南北戦争の際に大きな影響を受け、南軍のロバート・E・リー将軍によるアポマトックス・コートハウスへの退却が歴史的に重要な瞬間となりました。南北戦争後も鉄道は再建され、バージニア州南部を結ぶ重要な交通機関となりました。

教育の歴史と重要事件

郡内の重要な事件の一つは、デイビス対プリンスエドワード郡教育委員会事件です。これは、公立学校の人種差別撤廃を求める訴訟であり、「ブラウン対教育委員会裁判」にも関連するものでした。当事件の背景には、ジム・クロウ法下の過密かつ劣悪な教育環境に対する抗議がありました。この訴訟は、最終的に1954年の最高裁判決に繋がり、アメリカ全土の教育機関における人種統合の道を開く結果となりました。

1956年には、バージニア州議会が人種統合を回避するための大量抵抗政策を実施しました。この流れの中で、プリンスエドワード郡では公立学校が事実上閉鎖され、郡内の黒人学生は他の地域で教育を受けることを余儀なくされました。5年間にわたる教育の閉鎖は、郡民に深刻な影響を及ぼしました。

現在の教育体制

1964年以降、プリンスエドワード郡では小学校、中学校、高校がそれぞれ運営されています。公立学校は人種を問わず平等に教育を提供しており、過去の厳しい教訓を反映しています。

一方、プリンスエドワード・アカデミーは依然として人種差別的な側面を残していましたが、1986年には全ての学生を受け入れるようになりました。元々のモートン高校の校舎は、現在はロバート・ルッサ・モートン博物館として利用され、教育における人権に関する学習の場となっています。

地理

郡の面積は約354平方マイルで、ほとんどが陸地です。郡内ではアポマトックス川が主要な水源として位置づけられ、自然環境も豊かです。標高714フィートのリーズ山が郡内の最高地点となっており、郡内には美しい風景が広がります。

人口動態と生活環境

人口の 約14.6%が貧困線以下であり、郡内の失業率は10.3%と州平均を上回っています。特に、若年層や高齢者において貧困が顕著です。こうした社会的な課題は、地域の発展を考える上で重要な要素となっています。

プリンスエドワード郡は、教育史の重要な地点として、また自然の美しさを保つ地域として、今後も注目され続けるでしょう。

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