プルス・ウルトラ (モットー)

プルス・ウルトラ（Plus Ultra）

「プルス・ウルトラ」（ラテン語: Plus Ultra）は、「もっと先へ」「もっと向こうへ」「更なる前進」を意味するスペインの国の標語です。元々は、神聖ローマ皇帝カール5世（スペイン王としてはカルロス1世）の個人的なモットーでした。

起源

アール・ローゼンタールによれば、このモットーはヘルクレスの柱と深く結びついています。ヘルクレスの柱は、ローマ神話においてジブラルタル海峡付近にヘルクレスが建設したとされ、当時の世界の果てを示すものでした。神話では、柱には「ネク・プルス・ウルトラ」（Nec Plus Ultra）または「ノン・プルス・ウルトラ」（Non Plus Ultra）という警告が記されており、「これより先はない」という意味で船乗りや探検家たちの航海を阻むものとされていました。

カルロス1世

若き日のカルロス1世は、侍医ルイージ・マルリアーノの助言により、この「プルス・ウルトラ」をモットーに採用しました。これは、古代の警告を無視し、リスクを冒して前進することを奨励する意味合いがありました。カルロス1世はフランドル（現在のベルギー周辺）で生まれたため、このモットーは同地域でも使用されました。彼はヨーロッパ各地と世界中の植民地を支配したため、「プルス・ウルトラ」は国境を越えて広まりました。

スペイン

16世紀初頭、カルロス1世がスペイン王に即位して以来、「プルス・ウルトラ」はスペインで広く用いられるようになりました。スペイン・ハプスブルク朝のモットーとなり、スペインの銀貨にも刻まれました。探検家たちがヘルクレスの柱を越えて新世界を目指すことを奨励する標語としても機能しました。現在でも、この銘文はヘルクレスの柱とともに、スペインの国旗と国章に記されています。また、スペイン第二共和政の国章にも採用されました。

その他の使用例

大西洋横断飛行: 1926年、ラモン・フランコ率いるスペインの飛行家チームが、「プルス・ウルトラ」と名付けられた飛行艇で大西洋横断飛行に成功しました。
サッカークラブ: 1930年には、マドリードを拠点とするサッカークラブ「ADプルス・ウルトラ」が設立されました。このチームは後にレアル・マドリード・カスティージャへと発展しました。
プルス・ウルトラ旅団: イラク戦争には、スペイン、ドミニカ共和国、ニカラグア、ホンジュラス、エルサルバドルのスペイン語圏5カ国の兵士からなる「プルス・ウルトラ旅団」が派遣されました。
教育機関: シンガポールのジュロン・ジュニア・カレッジ、アメリカのマールデン・カトリック高等学校、スリランカのニューステッド・ガールズ・カレッジなどでモットーとして使用されています。
その他: コロンビア海軍、フランシス・ベーコンなどもこのモットーを使用しました。ベルギーのバンシュでは、古フランス語形の「Plus Oultre」がモットーとなっています。また、アメリカ空軍士官学校の第15士官候補生分隊のモットーでもあります。
僕のヒーローアカデミア: 堀越耕平の漫画『僕のヒーローアカデミア』では、主人公たちが通う雄英高校の校訓として採用されています。

「プルス・ウルトラ」は、単なる標語としてだけでなく、挑戦と進歩の精神を象徴する言葉として、様々な分野で用いられています。

外部リンク

* Plus Ultra Brigade

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