プルナシン

プルナシンは、アミグダリンと構造的に関連する青酸配糖体の一種であり、自然界に広く分布しています。

天然の生産

プルナシンは、特にバラ科サクラ属の植物に多く含まれています。具体的には、ニワウメ(Prunus japonica)やミヤマザクラ(Prunus maximowiczii)などのサクラ属の植物、そして苦味のあるアーモンドに存在することが知られています。また、アフリカ原産のOlinia属の植物（O. ventosa、O. radiata、O. emarginata、O. rochetiana）の葉や茎、さらには北米原産のSenegalia greggiiの葉や茎からも検出されています。意外なところでは、たんぽぽコーヒーにもプルナシンが含まれていることが報告されています。

これらの植物におけるプルナシンの役割は完全には解明されていませんが、一般的には植物が草食動物から身を守るための防御機構の一部として機能していると考えられています。プルナシン自体は比較的毒性が低いものの、後述する酵素によって分解されると、有毒なシアン化水素を生成する可能性があります。

代謝

プルナシンは、特定の酵素によって代謝されます。重要な酵素の一つがプルナシン β-グルコシダーゼです。この酵素は、(R)-プルナシンと水を基質として、D-グルコースとマンデロニトリルを生成する反応を触媒します。マンデロニトリルは、さらに分解されてシアン化水素を生成する可能性があります。

もう一つの重要な酵素は、アミグダリン β-グルコシダーゼです。この酵素は、(R)-アミグダリンを基質として、D-プルナシンとD-グルコースを生成します。つまり、アミグダリンは、この酵素によって一段階分解されることでプルナシンを生成する中間体となるのです。

これらの酵素の存在は、プルナシンが植物体内でのアミグダリンの代謝経路において重要な役割を果たしていることを示唆しています。また、これらの酵素は、植物だけでなく、一部の微生物にも存在することが知られており、自然界におけるプルナシンの分解や代謝に寄与していると考えられます。

プルナシンは、その構造と代謝経路において、アミグダリンと密接な関係を持つ化合物です。サクラ属の植物やアーモンドなどの食品に含まれていることから、私たちの食生活とも無縁ではありません。しかし、プルナシンの摂取量や代謝によっては、シアン化水素を生成する可能性があるため、注意が必要です。

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