プレシオプラテカルプス

プレシオプラテカルプス（学名: Plesioplatecarpus）は、モササウルス科プリオプラテカルプス亜科に分類される、絶滅した海生爬虫類の一属です。この属の化石は、後期[[白亜紀]]の中期セノマニアン期から中期サントニアン期にかけての地層、具体的には北アメリカのメキシコ湾沿岸地域およびかつて内海であった Western Interior Basin （西部内陸海路）から産出しています。

発見と分類の歴史

プレシオプラテカルプスは、その発見当初、別のモササウルス科の属であるクリダステスの一種（ Clidastes planifrons ）として、1874年に古生物学者エドワード・ドリンカー・コープによって命名されました。その後、この標本はより詳細な研究に基づき、プラテカルプス属に再分類されました。しかし、後の系統解析によって、この標本がプラテカルプスとは異なる独自の属に属することが明らかになりました。

この結果を受けて、2011年に古生物学者の小西卓哉とマイケル・W・コールドウェルによってプレシオプラテカルプス属が新たに設立されました。この新属の設立は、化石記録に基づく詳細な比較研究の結果であり、プレシオプラテカルプスが独特の特徴を持つ属であることを示しています。ホロタイプ標本（属の定義に使用される基準標本）は、アメリカ自然史博物館（AMNH）に収蔵されている AMNH 1491 であり、ほぼ完全な骨格化石です。この標本は、プレシオプラテカルプスの解剖学的特徴を理解するための重要な基準となります。

その他、過去に Platecarpus planifrons （プラテカルプス・プラニフロンス）と分類されていた標本の中には、後にプレシオプラテカルプス属に再分類されたものがいくつか存在します。具体的には、FHSM VP2116 および FHSM VP2296、UALVP 24240 および UALVP 40402、そしてYPM 40508などが挙げられます。これらの標本は、プレシオプラテカルプス属の地理的分布や形態的変異を理解する上で重要な資料となります。

プレシオプラテカルプスの発見と分類の歴史は、古生物学における分類学的研究の重要性を示しています。当初は他の属に分類された化石が、より詳細な分析と系統解析によって、独自の属として認識されることがあります。このように、過去の知見を常に再評価し、新しい発見や分析結果を考慮することで、生物の進化史に関する理解を深めることができます。

プレシオプラテカルプスは、モササウルス科の中でも比較的初期に現れた種の一つと考えられており、その解剖学的特徴は、モササウルスの進化史を解明する上で重要な情報を提供します。今後の研究によって、この古代の海の捕食者の生態や進化に関するさらなる理解が進むことが期待されます。

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