プログレスM-04M

プログレスM-04M

プログレスM-04Mは、ロシア連邦が国際宇宙ステーション（ISS）へ物資を届けるために使用した無人の補給船です。2010年に打ち上げられ、NASAではProgress 36Pなどとも呼ばれていました。この宇宙船は、ISSのロシア区画であるズヴェズダモジュールの後部（aftポート）に接続されました。

打ち上げとドッキング

プログレスM-04Mは、2010年2月3日協定世界時（UTC）3時45分に、カザフスタンにあるバイコヌール宇宙基地の1/5発射台から、ソユーズ-Uロケットによって宇宙へと旅立ちました。打ち上げから約3日後の2月5日UTC4時26分には、無事ISSのズヴェズダモジュール後部ポートへのドッキングに成功しました。

ドッキング中の活動と歴史的な接続

このドッキングは、ISSの歴史において特筆すべき出来事をもたらしました。プログレスM-04Mの到着により、当時既に接続されていた3機のロシア製宇宙機（ソユーズTMA-16、ソユーズTMA-17、プログレスM-03M）と合わせ、合計4機のロシア宇宙船が初めて同時にISSへドッキングしている状態が実現したのです。この4機同時ドッキングは、プログレスM-04MがISSを離れる2010年5月10日まで約3ヶ月間続きました。

プログレスM-04Mは、ISSでの長期滞在や活動を支えるために不可欠な物資を輸送しました。搭載された貨物の総重量は2686kgに及び、これには以下のようなものが含まれていました。

ロシア区画で使用される水
軌道上での姿勢制御やステーション自体の運用に必要な燃料
* 搭乗員の食料品や医療品

また、M-04Mがドッキングを解除した後、そのポートは、スペースシャトルアトランティスによるSTS-132ミッションで運ばれる新しいモジュール「ラスヴェット」の到着に備え、ソユーズTMA-17が移動して使用されることになります。

ドッキング解除と軌道離脱の準備

約3ヶ月間のISS滞在期間を終え、プログレスM-04Mは地球へ帰還（処分）する準備に入りました。2010年5月7日、ロシア連邦宇宙庁のミッションコントロールセンターは、ISSの搭乗員が役目を終えた不用品をM-04Mに積み込み、ドッキング解除の準備が進められていることを発表しました。

ドッキング解除と監視

そして予定通り、2010年5月10日にISSからのドッキングを解除しました。ドッキング解除の指令はUTC11時13分に発せられ、そのわずか3分後にはズヴェズダモジュールから安全に切り離されました。この重要な瞬間には、ISSに滞在していたロシア人宇宙飛行士であるアレクサンドル・スクボルソフ飛行士とミハイル・コルニエンコ飛行士が、ドッキング接続部のOリングシールの状態を確認するため、写真やビデオカメラを用いてプログレスのドッキング機構を注意深く監視しました。これは将来のドッキングミッションの安全性を確保するために行われた作業です。

自律飛行実験

ISSからのドッキング解除後、プログレスM-04Mは直ちに軌道を離脱するのではなく、約2ヶ月間にわたり自律飛行を続けました。この期間、M-04Mは「反射地球物理学実験」と呼ばれるミッションの一部を担いました。この実験の目的は、M-04Mの船体や構造体が地球大気の反射特性にどのように影響するか、またそれらがどのように観測されるかなどを研究することでした。宇宙船の外部反射特性に関するデータ収集は、将来の宇宙観測やリモートセンシング技術の向上に役立つ可能性があります。

最終処分

自律飛行実験を終えたプログレスM-04Mは、その役目を全て完了し、最終的な処分プロセスへと移行しました。2010年7月1日、M-04Mは太平洋上で軌道を離脱するコマンドを受けました。UTC13時45分頃に大気圏への再突入に伴う燃焼が開始され、その約1時間後のUTC14時40分頃には、燃え残った機体の一部が南緯37度47分、西経235度9分の太平洋南部の予定された海域に落下しました。これにより、プログレスM-04Mのミッションは完全に終了しました。

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