プログレスM-07M

プログレスM-07M（ロシア語：Прогресс М-07М）は、ロシア連邦宇宙局が国際宇宙ステーション（ISS）への補給ミッションのために運用した無人宇宙補給船です。RKKエネルギアによって製造され、ロシアのプログレス補給船シリーズ、特にプログレス-M（11F615A60）型の通算7番目の機体にあたります。2010年に打ち上げられた同型機としては4機目であり、シリアル番号は407が付与されていました。NASAでは慣例により「Progress 39」あるいは「39P」とも呼称されています。

打ち上げとISSへのランデブー

プログレスM-07Mの打ち上げは、当初2010年9月8日午前11時11分（協定世界時UTC）に予定されていました。しかし、悪天候のため延期を余儀なくされ、最終的に2010年9月10日午前10時22分28秒（UTC）に、カザフスタンのバイコヌール宇宙基地31/6射点から、ソユーズ-Uロケットに搭載されて打ち上げられました。

打ち上げ成功後、プログレスM-07Mは高度195kmから238kmの初期軌道に投入されました。その後、ISSとのランデブーに向けて、約2日間にわたり複数回のエンジン噴射を実施し、軌道を調整しました。

ISSへのドッキング

ISSへのドッキングについても、打ち上げ遅延の影響を受けました。当初は9月10日午後12時37分（UTC）にISSのロシア区画にあるズヴェズダモジュールのAftポートにドッキングする計画でしたが、実際のドッキングは2日遅れの2010年9月12日午前11時58分（UTC）に行われました。

ドッキングの直前には、プログレス補給船とISS間の距離を167.6メートルに保ちながらシステム評価が行われました。その後、ロシアのフライトコントローラーからの最終接近開始の承認を受けて、約11分間にわたる最終アプローチが実行されました。ドッキングは、自動ランデブーシステムである「クルス」によって完全に成功裏に完了しました。

プログレスM-07Mは、ISSに滞在中の第24次長期滞在クルーが到着した時期にドッキングし、続く第25次長期滞在の全期間を通してISSに接続されたままでした。ドッキングが解除されたのは、第26次長期滞在の期間中でした。

搭載された貨物

プログレスM-07Mは、合計で2515kgの貨物をISSに輸送しました。その内訳は以下の通りです。

燃料：1120kg
酸素：49kg
水：210kg
ドライカーゴ：1136kg

ドライカーゴには、ISSの生命維持に必要な物資、機器の保全・修理に使用する資材、衛生用品、宇宙飛行士向けの食料品、医療品、衣類が含まれていました。また、ISS内の宇宙飛行士が使用する個人荷物や、カメラ機材、さらにISSのザーリャ、ポイスク、ラスヴェットといった各モジュールで使用される艤装品（内部機器や部品）なども搭載されていました。

ISS軌道上昇マニューバへの貢献

プログレスM-07Mは、ISSの軌道高度を維持・上昇させるためのマニューバ（軌道制御操作）にも合計3回使用されました。これは、ISSがわずかな大気抵抗などによって徐々に高度を失うのを補うために定期的に実施される重要な運用です。

1. 1回目の軌道上昇：2010年9月15日に実施されました。プログレス補給船の8つの高度制御スラスタを用いて行われ、主に9月25日のソユーズTMA-18と10月10日のソユーズTMA-01Mという、ISSから離脱するソユーズ宇宙船の安全な運用に備える目的がありました。この噴射は526秒間継続され、ISSの高度を約2km上昇させ、高度約356kmに到達しました。
2. 2回目の軌道上昇：2010年10月20日午後7時41分（UTC）に行われました。これは、後続のプログレスM-08M補給船の到着準備として実施されたものです。228.7秒間の噴射により、ISSは近地点約350.7km、遠地点約375.7kmの軌道に到達しました。プログレスM-08Mは10月27日に打ち上げられ、2日後にISSへ無事ドッキングしています。
3. 3回目の軌道上昇：2010年12月22日に実施されました。こちらも再びプログレス補給船の8つのスラスタを使用して行われました。2011年1月28日に打ち上げられるプログレスM-09M補給船の到着と、同年中に予定されていたスペースシャトル・ディスカバリー号によるSTS-133ミッションでのドッキングに備えるためのマニューバでした。この操作により、ISSの高度は約4.2km上昇し、高度約352.9kmの軌道に達しました。

ドッキング解除と廃棄

プログレスM-07Mは、2011年2月20日までISSにドッキングを続けていました。このドッキング解除は、新たに欧州宇宙機関（ESA）の大型補給機であるATV-2「ヨハネス・ケプラー」がISSに到着するためのポートを空ける目的で行われました。

ドッキング解除後、プログレスM-07Mは制御された軌道離脱を行い、地球の大気圏に再突入しました。大気圏突入時の摩擦熱によって機体は大部分が燃え尽き、燃え残った破片は、人工衛星などの墓場として指定されている南太平洋上の海域に落下しました。この際、プログレス補給船にはISSから出た様々な廃棄物や不用品が積み込まれており、これらも機体と共に処分されました。モスクワ時間では午前7時58分頃に太平洋上に落下したと記録されています。

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