プログレスM-11M

プログレスM-11M

プログレスM-11M（Прогресс М-11М）は、ロシア連邦宇宙局によって運用された国際宇宙ステーション（ISS）向けの無人宇宙補給機です。NASAではProgress 43あるいは43Pといった名称でも呼ばれました。これは、プログレス-M型補給船（機体番号11F615A60）シリーズの11番目のミッションに当たります。製造はRKKエネルギアが担当しました。

ミッション概要

プログレスM-11Mは、ISSで活動するクルーのために、食料、水、科学実験機材、燃料、生命維持に必要な用品、さらには各参加機関（NASA、Roscosmos、JAXA）からの重要な貨物など、合計で約2.7トンにおよぶ物資を届けることを主な目的としました。

搭載された貨物の内訳は以下の通りです。

機材、食料、衣類、生命維持系用品：1,276 kg
燃料：930 kg
水：420 kg
空気：50 kg

合計重量は2,673 kgでした。

打ち上げとドッキング

プログレスM-11Mを搭載したソユーズ-Uロケットは、2011年6月19日にバイコヌール宇宙基地の1/5発射台へ展開されました。その後の二日間で、機体とロケットの統合試験や、打ち上げおよび初期飛行段階のシミュレーションを含む運用準備が順調に進められました。

打ち上げは、協定世界時（UTC）の2011年6月21日14時38分にバイコヌール宇宙基地から実施されました。ロケットからの分離後、プログレスM-11Mは、近地点高度193.96km、遠地点高度240.09kmという設計通りの初期軌道に投入され、約88.54分で地球を一周しました。その後、2日間にわたる軌道制御噴射によって、ISSとのランデブーに向けた精密な誘導が行われました。

打ち上げから約2日後の2011年6月23日16時37分（UTC）、プログレスM-11MはISSのロシア側モジュールであるズヴェズダの後部ポートへのドッキングに成功しました。このドッキングは、カザフスタン東部上空、高度約394kmの位置で行われました。ISSへの最終的な接近とドッキングプロセスは、自動操縦で進行しましたが、モスクワのミッションコントロールセンターと、当時ISSに滞在していた第28次長期滞在のクルーが連携して監視および管制にあたりました。

運用中の活動

ISSにドッキングしている間、プログレスM-11Mは補給船としての役割に加え、ISSの軌道維持にも利用されました。2011年7月1日には、プログレスの4基の姿勢制御スラスターを使用してISSの軌道再上昇（リブースト）が実施されました。この噴射により、ISSの軌道は3.5km上昇し、平均高度は約388.3kmとなりました。この軌道再上昇の目的は、当時予定されていたスペースシャトル・アトランティスによる最後のミッション、STS-135のためのより良好なランデブー条件を整えることでした。

分離と廃棄

プログレスM-11Mは、約2ヶ月間のISSとの結合期間を終え、2011年8月23日にISSから分離しました。ISSを離れた後、この補給船は「レーダープログレス」（ラダール・プラグリェース）と呼ばれる科学実験に一週間ほど使用されました。これは、地上のレーダーシステムによる宇宙機の追跡技術に関するもので、プログレスM-03M、M-06M、M-09Mに続いて4例目の実施となりました。

全ての任務と実験を終えたプログレスM-11Mは、2011年9月1日に軌道から離脱する制御された再突入を行い、地球の大気圏に突入して燃え尽きました。機体の残骸の大部分は、計画通り南太平洋上の安全な海域に落下しました。

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