プログレスM-15

プログレスM-15は、ロシア連邦によって1992年に運用が開始された無人宇宙補給機です。旧ソビエト連邦時代から続くプログレス補給船シリーズの一つであり、当時地球を周回していた宇宙ステーション「ミール」への物資供給を主な任務としていました。

ミール宇宙ステーションにドッキングした歴代プログレス補給船の総数64機の中で、プログレスM-15は33番目の訪問機にあたります。機体はプログレス-M型（形式名11F615A55）に分類され、シリアル番号215番が付与されていました。

このミッションでは、通常の補給任務に加え、いくつかの技術的な試験が実施されました。特に注目されるのは、遠隔操作による手動ドッキングシステム「TORU」の初めての軌道上での試験が行われた点です。これは、自動ドッキングがうまくいかなかった場合のバックアップ手段として重要なシステムでした。

搭載貨物

プログレスM-15は、ミールに滞在する第12次長期滞在クルー（EO-12）の生命維持に必要な物資を中心に、多岐にわたる貨物を搭載していました。主な搭載物は以下の通りです。

クルーのための食料、水、酸素
様々な科学実験に用いられる機器や材料
* 宇宙ステーションの軌道維持・調整に用いられる推進剤

また、興味深い搭載物の一つとして、小型衛星Mak2がありました。この衛星はプログレスM-15によってミールへ輸送され、ドッキング中の1992年11月20日にミールから宇宙空間へと放出されています。

運用経過

プログレスM-15の軌道投入は、1992年10月27日17時19分41秒（グリニッジ標準時、GMT）に行われました。打ち上げにはソユーズ-U2ロケットが使用され、カザフスタン共和国にあるバイコヌール宇宙基地の31/6射点から宇宙へと飛び立ちました。

打ち上げから約2日間の飛行を経て、10月29日の同時刻（GMT 17時19分41秒）、プログレスM-15はミール宇宙ステーションとのドッキングを無事に完了しました。接続先は、ミールに結合された大型モジュール「クバント1」の後方ドッキングポートでした。

プログレスM-15は合計97日間にわたり、ミールと結合した状態で運用されました。このドッキング期間中、ミール宇宙ステーションは遠点が約399km、近点が約396km、軌道傾斜角が51.6度という、概ね円に近い軌道を地球の周回を続けました。

長期滞在クルーへの物資補給や、ステーションの姿勢制御に必要な推進剤の補給といった補給任務を終えた後、プログレスM-15は1993年2月4日0時44分53秒（GMT）にミールから分離されました。しかし、この時点では直ちに大気圏に再突入せず、軌道上にしばらく留まることになります。これは、分離後に実施される「ズナーミャ2」という大規模な宇宙ミラー展開実験におけるリフレクターのプラットフォームとしての役割を担うため、および補給船単独での自立飛行に関する技術研究を行うためでした。

計画されていた一連のミッションと実験を終えたプログレスM-15は、同年2月7日に軌道離脱マヌーバを実行しました。地球の大気圏に再突入した機体は、同日8時3分35秒頃（GMT）、太平洋上の安全な海域で燃焼処分され、その役目を終えました。

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