プログレスM-66

プログレスM-66は、国際宇宙ステーション（ISS）へ定期的に物資を輸送するロシアの無人宇宙船、プログレス補給船の一つです。

正式名称はプログレスM-66（Progress M-66）であり、製造番号は366、バージョンはプログレスM 11F615A55として製造されました。アメリカ航空宇宙局（NASA）では「プログレス32」、略称「32P」という名称が与えられています。

この補給船は、2009年2月10日協定世界時（GMT）5時49分に、カザフスタン共和国にあるバイコヌール宇宙基地の31番射点から、ソユーズUロケットによって宇宙空間へと打ち上げられました。バイコヌール宇宙基地の31番射点からプログレス補給船が打ち上げられるのは、1992年のプログレスM-15以来、およそ17年ぶりのことでした。

打ち上げから約3日後の2009年2月13日協定世界時7時18分、プログレスM-66はISSのピアースモジュールへのドッキングに成功しました。ドッキング後、プログレスM-66はISSに滞在する宇宙飛行士たちの生活や科学活動を支えるために必要な物資を運び込みました。輸送された物資の総重量は2,657キログラムに達し、その内容は推進薬、水、食料といった生存に不可欠なものから、様々な科学実験に使用される研究機材まで多岐にわたります。また、ISSでの船外活動（EVA）に用いられる宇宙服として、新しいオーランMK宇宙服1着が運び込まれました。同時に、すでに使用されていた古いオーランM宇宙服1着が、地球での分析や処分のためプログレスM-66へと移されました。これらの物資輸送は、ISSの円滑な運用と研究活動の継続にとって非常に重要でした。

ISSへの補給任務を終えたプログレスM-66は、2009年5月6日協定世界時15時18分にピアースモジュールからアンドッキングし、そのポートを次に到着するプログレス補給船のために明け渡しました。しかし、プログレスM-66のミッションはこれだけでは終わりませんでした。アンドッキング後、この補給船はISSの軌道から離れて、約12日間にわたり単独での自由飛行を行いました。この期間中、ロシアの宇宙機関によって進められている「プラズマ・プログレス計画」の一環として、宇宙空間におけるプラズマ環境に関する重要な科学実験が実施されました。

自由飛行と実験ミッションをすべて完了した後、プログレスM-66はその任務を終え、大気圏への再突入による処分へと移行しました。2009年5月18日協定世界時14時28分00秒に、軌道離脱のための最終噴射が行われ、機体は地球大気圏へ突入しました。大気圏通過中に機体の大部分は燃え尽き、燃え残ったデブリは、計画通り協定世界時およそ15時14分45秒に南太平洋の、船舶などの航行が少ない安全な海域に落下しました。このように、プログレスM-66はISSへの重要な補給任務、後続の科学実験ミッションを成功裏に遂行し、最終的には計画に基づき安全に処分されたのです。

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