プログレスM-67

プログレスM-67

プログレスM-67は、ロシア連邦宇宙局が国際宇宙ステーション（ISS）への物資補給ミッションのために運用した無人宇宙補給船です。NASAでは「Progress 34」あるいは「34P」の名称で呼ばれました。この機体はプログレス-M型（型式番号：11F615A55）に属し、シリアル番号は367が付与されていました。特筆すべき点として、プログレス-M型（11F615A55）として製造された機体の最後の飛行ミッションとなりました。この型式の運用終了後、より近代化されたプログレス-M型（11F615A60）が後継としてISSへの補給任務を引き継いでいます。

搭載貨物

プログレスM-67には、ISSでの長期滞在に必要な様々な物資が搭載されていました。具体的には、約50kgの酸素、約210kgの水、約830kgの推進剤に加え、1200kgを超える様々なドライカーゴ（食料、実験機器、衣料品など）が積み込まれていました。これらの物資は、ISS搭乗クルーの生活維持と科学実験の継続に不可欠なものでした。

運用詳細

プログレスM-67の打ち上げは、2009年7月24日協定世界時（UTC）10時56分56秒に、カザフスタンのバイコヌール宇宙基地1/5発射台から、ソユーズ-Uロケットによって実施されました。

当初、打ち上げから2日後の7月26日にISSへのドッキングが予定されていましたが、運用計画に変更が生じました。これは、打ち上げ前にアメリカ航空宇宙局（NASA）のスペースシャトル・エンデバーによるSTS-127ミッションの打ち上げに遅延が発生し、シャトルがISSにドッキングしている期間全体を通じてその状態を維持できるようにするための調整が必要になったためです。シャトルとプログレス補給船は異なるドッキングポートを使用しますが、シャトルがドッキングしている間は、他の宇宙機がISSにドッキングしたり、あるいはISSから離脱したりすることが技術的に制約を受けるため、プログレスM-67のISS到着を遅らせる判断がなされました。エンデバーが7月28日にISSを離脱した後、プログレスM-67は打ち上げから約5日間の自由飛行を経て、7月29日UTC 11時12分にISSのロシア区画である「ズヴェズダ」モジュールの後方（Aft）ポートへのドッキングに成功しました。

このドッキングにおいては、特異な状況が発生しました。プログレスがISSに接近する際、機体の姿勢が通常とは異なる向きであったため、自動ドッキングシステムである「クルス」を使用することが困難になりました。このため、ISSに滞在していたロシア人宇宙飛行士ゲンナジー・パダルカ氏が、手動ドッキングシステム「TORU」を操作して、プログレスM-67をISSへドッキングさせるという異例の措置が取られました。

ISSへの補給任務を終えたプログレスM-67は、ソユーズTMA-16宇宙船のISS到着に向けた準備のため、2009年9月21日UTC 7時25分にズヴェズダ後方ポートからドッキングを解除しました。ドッキング解除後、プログレスM-67は地球の大気圏に再突入する軌道へ誘導され、2009年9月27日に大気圏内で燃え尽き、そのミッションを終了しました。

プログレスM-67は、プログレス-M型（11F615A55）の最終飛行として、そしてSTS-127ミッションとの兼ね合いによるドッキング遅延や、手動ドッキング操作といった特別な運用が行われたミッションとして、ISSへの補給史において記憶される機体です。

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